嫉妬の苦しみからはどうすれば解放されるか。浜松医科大学名誉教授の高田明和さんは「私たちは誰も何も言っていないのに、勝手に自分の基準で他人を羨み、自分を貶めている。他人が羨ましい人は、『自分もまた他人から羨ましがられているのだ』と思い直して、『自分はすごいんだな!』と、喜んでしまえばいい」という――。

※本稿は、高田明和『88歳医師の読むだけで気持ちがスッと軽くなる本 “年”を忘れるほど幸せな生き方』(三笠書房)の一部を再編集したものです。

後ろで手を組み公園を歩くシニア男性
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年をとってなお、若いとき以上に活躍する人の共通点

長年親しんできた俳優や歌手が引退したり、かつて国民を沸かせたスポーツ選手が亡くなったりすると、私たちは年をとることの悲しさを感じます。

あの加山雄三さんや、シンガーソングライターの小椋佳さんが引退を宣言されたときは、私も寂しさを覚えたものです。

しかし、引退する人々がいる一方で、「年をとってなお、むしろ若いとき以上に活躍している人」も多くいます。

たとえば、ノーベル平和賞受賞者であり、かつてはアメリカ合衆国国務長官としても活躍した国際政治学者のヘンリー・キッシンジャーは、本書の校了間際、2023年11月に100歳でこの世を去りましたが、100歳を超えてなお、中国の習近平国家主席に会うなどして国際秩序の回復に努めていました。

メディア王として知られるルパート・マードックは、92歳でついに、フォックス・コーポレーションとニューズ・コーポレーションの会長を退任することを発表しました。

それでも彼はまだ“名誉会長”として会社に残り、「アイデアに関する議論には毎日参加する」としています。マードックは4人の妻との間に3人の子どもがおり、そのうちの一人にメディア帝国を承継させるつもりで、その育成に自分の新たな役目を見出しているのではないでしょうか。

こうした驚異的な活躍をしている人の例を挙げると、多くの人は、きっとこんなため息をつくでしょう。

「私は、人生を通じてたくさんの失敗や辛い経験をしただけで、そうしたすごい人たちのように、他人に誇れる実績は何もない」

大丈夫です、そんなことを気にしなくていいのです。

現在、立派に生きている――その事実にこそ、「今から先を輝かせる宝」が埋もれているからです。