人間の能力を覚醒させるにはどうすればいいか。浜松医科大学名誉教授の高田明和さんは「野球の大谷翔平選手は『できる』ことを疑わず二刀流を実現した。すると、『自分にもできるはず』と信じることができるようになった二刀流の若手選手が、アメリカでも日本でも続々と登場した。大袈裟に言えば、多くの人の新たな能力を覚醒させ、人類のレベルを引き上げたことになる。自分を信じることの力はこれほど偉大である」という――。

※本稿は、高田明和『88歳医師の読むだけで気持ちがスッと軽くなる本 “年”を忘れるほど幸せな生き方』(三笠書房)の一部を再編集したものです。

ベンチに置かれたバットとボール、グローブ、ヘルメット
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どんなに羨ましがられる人でも、思いもよらぬ問題を抱えている

自分以外の他人には、欠点などどこにもないように思えてしまう。

一方では、自分は欠点だらけだと思う。嫉妬深く、好き嫌いが激しいし、意志は弱いのに競争意識が強い。落ち込みやすいし、劣等感も強い……。

そんなふうに、ふと気づくと、他人と自分を比較して自分を貶め、自己肯定感を下げている人は意外と多いかもしれません。

しかし、私たちが認識すべきなのは、自分と同様にほかの人たちだって完璧ではないという事実です。皆、どこかに心の悩みを抱えているということです。

たとえば、とてもイケメンでモテモテ間違いないような若い男性が、盗撮やら下着泥棒のような犯罪で捕まったとか、聡明で鳴らす女性がヘタな詐欺に引っかかって、虎の子を失ってしまったとか……。

以前、男性とのトラブルで女性が刺される事件があり、テレビで生前の彼女の映像を観たときは驚きました。彼女は女声合唱団の一員で、天使のような美しい声で童謡を歌っていたのです。

講演が終わったら高級住宅地の大きなお屋敷に帰り、ピアノのある居間で庭を眺めながらワインでも飲んでいそうな、そんな優雅な生活をしているようなイメージの女性でした。

しかし現実にはワンルームマンションに住み、厄介な男性との間に、ドロドロした問題を抱えていたのです。人は本当に「見かけによらない」としかいえません。