運がいい人はどんな考え方をしているか。浜松医科大学名誉教授の高田明和さんは「自分や相手の欠点や失敗は、できるだけ無視すればいい。物事の『悪いところは見ない』ことを徹底し、『いい面』を見ると運勢は上向いていく。実際、明るい面を見て相手を信じているときの人は、顔つきや声も違うから良好な関係を築くことができ、『得すること』が増える」という――。

※本稿は、高田明和『88歳医師の読むだけで気持ちがスッと軽くなる本 “年”を忘れるほど幸せな生き方』(三笠書房)の一部を再編集したものです。

指をさして声を荒らげる男性
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ポジティブに考えるだけで、解決する問題が9割

物事の「いい面」を見る。

たとえば、グラスにビールが半分残っているとき、「まだ半分もある、ラッキー!」と考えるか、「もう半分しか残っていないんだ、悲しいな」と考えるか。

往年の名優、ヘンリー・フォンダに言われるまでもなく、「ポジティブに考えたほうが運はよくなる」というのは、いろいろなところで実証されています。

いわゆる「ポジティブ・シンキング」です。

大勢の成功者がそう述べているのは知っていましたが、私は若いころ、「この人たちは、何を言っているんだろう?」と思っていたのです。

だって、世の中には悪意を持った人が大勢いるのですから。

常に「最悪の事態が起こるかもしれない」と警戒し、心の準備をしておかないと、いざというときに対処できないじゃないか、と思っていました。

そうやってネガティブな予測ばかりしながら生きていた私は、自分の失敗や無能ぶりばかりが強く自覚され、次第に、起こるであろう悪いことばかりに恐怖するようになっていたのです。

でも、あるとき、大学の一般教養の授業で数学の先生が、しみじみと「人生のコツは、物事の悪い面をできるだけ見ないようにすることです」とつぶやいたことがあったのです。

教師というものは、ときに学生たちにポロリと本音を漏らすことがあります。それを感じとった私の脳裏に、この言葉はずっと焼きついていました。

私は、将来を悲観する傾向はあるものの、人の意見やアドバイスは素直に聞きますから、その数学の先生の教えに従って、それ以降、「悪いところは見ない」ことを徹底するようにしたのです。