最下位は「任せて見守る上司」

ご存じの通り、意識高く活動する人たちのことを「あっち側の人たち」などと表現し、距離を取る傾向が以前からあった。彼らは自分たちとは違う世界の人たちであり、そんな人を上司や先輩に持つと、おのずと自分にも「圧」がかかる。それは「安定」した職場とは真逆に位置し、警戒すべき対象となる。

金間大介『静かに退職する若者たち』(PHP)

もう1つ、ぜひ注目してほしいポイントは、最下位となった「仕事を任せて見守る」だ。もともとの支持率が低いので大きな変化には見えないが、2020年以降では、これを理想の上司・先輩とする新人社員は100人に5人のみだ。

「丁寧な指導をする」上司の支持率が約70%、「任せて見守る」上司は約5%。もう「とにかく任せて、あとは口出しせず」なんていう職人気質的な上司は、絶滅危惧種なのかもしれない(正確には危惧されていないので、単純に絶滅種と言うべきか)。

その他、些細ではあるが、「褒め」の言葉が入る「仕事の結果に対するねぎらい・褒め言葉を忘れない」は、徐々に上昇していたが、直近の2022年では一転して低下傾向にあるのも興味深いところだ。

「友達のような上司」は必要とされていない

次はSHIBUYA109エンタテイメント「Z世代の仕事に関する意識調査」のデータを見てみよう(図表3)。

質問自体はこれまでと変わらずシンプル。若手社員に対し理想の上司像を尋ねるもので、興味深いのは選択肢の方だ。よくぞ聞いてくれました、という選択肢が並ぶ。

 あなたにとっての理想の上司とは?(出所=金間大介『静かに退職する若者たち』)

ツートップは、もうこれまで見てきた通りだ。「分かりやすい言葉で説明してくれる」、「丁寧に教えてくれる」となる。「リーダーシップがある」や「尊敬できる」が真ん中の方にあるが、調査結果を見る前にこの選択肢を見たら、「こんなストレートな選択肢があったら全員が選択する」と言っていたかもしれない(だって、尊敬できる、って最強だと思いませんか)。

さらに下位のほうに目を転じると、「友達のように接してくれる」や「食事に頻繁に誘ってくれる」がある。今このデータを見て、ドキッとした人、多いんじゃないでしょうか。

さて、以上をまとめると、もう今の新入社員にとっての「理想の上司・先輩像」には結論が出ている。

それは、①仕事について丁寧に教えてくれて、②若者の意見や要望に対し(聞いてくれるだけではなく)自ら動いてくれて、③いかなる場合でも叱るなんてとんでもなく、④仕事の結果に決して情熱など持たず、⑤仕事を振っておいて見守るだけなんてあり得ない、⑥ついでに、友だち感覚で「ご飯行こう」とかはなしでといったところか……(あくまでも、僕が言っていることではなく、データが言っていることです)。

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