「結果にこだわる上司」は求められていない

ただし、その「仕事を任せてくれる」を含め、「的確なゴール設定をしてくれる」、「厳しいことも敢えて伝えてくれる」、「論理的に説明してくれる」など、仕事のパフォーマンスや成果に直結しそうな項目ほど、仕事を覚えた30代、40代以上に人気かと思えば、そうでもない。これらの項目よりも「具体的なアドバイスをくれる」、「気分に浮き沈みがない」といった項目の方が上だ。

成果に直結、という意味では、その言葉通り「仕事の成果にこだわる」という項目があるが、なんとこれが全世代で最下位だ。全体で100人に6人しかこれを選択していない(複数回答可という設定なのにもかかわらず!)。このデータには「いい子症候群」を分析している僕も、とても驚いた。

「そもそも成果にこだわらない仕事って何なんだ?」「それって仕事の意味あるのか?」と思ってしまう。しかしこれが現実だ。今の日本では、仕事の成果にこだわる上司こそ最も歓迎されないタイプ、となる。念押しで恐縮だが、この傾向は世代を問うていない。

オフィスで同僚をスコーリディングするビジネスマン
写真=iStock.com/takasuu
※写真はイメージです

とにかくリーダーになりたくない

通常、成果にこだわらなければならない立場といえばリーダーだが、今の若者は出世どころか係長にすらなりたがらない。僕の調査でも「最もつきたくない役割はリーダー」だった。リーダーになれば成果を意識せざるを得ず、それは同時に、最も歓迎されない存在となる。何をするにも周りの目を気にする日本人にとって、そんな役割は絶対やりたくない。

それでもリーダーが必要というなら、その心理的負荷に見合うだけのインセンティブを付与しているかどうかが問題となる。が、今の日本で、そんな充実したインセンティブを用意している組織をそう見たことがない。その実態を踏まえ、僕は今の日本社会を次のように揶揄やゆしている。

・じっとしている方が得
・「できないふり」「忙しいふり」の演技バトル
・「やらない」を選ぶ方が合理的/やった者負け・言った者負け
・ゼロメリット社会

このような状況について、太田肇おおたはじめ氏は『何もしないほうが得な日本』(PHP新書)にまとめていて、実に興味深い(もう全くその通り)。