ビジネスの成功率を上げる「防衛的ペシミズム」
【弟子】言われてみれば、ネガティブなほうが、未来に向けた準備や努力をしそうです。
【猫師匠】「防衛的ペシミズム」のメリットはビジネスの世界でも示されていて、多くの研究では、新たに始めた事業やプロジェクトがうまくいくかどうかより「どれだけ失敗に耐えられるか?」を最初に考えておいたほうが成功率が上がることがわかってきた(※8)。
※8 バージニア大学ビジネススクールのサラス・サラスバシーらが提唱し、「エフェクチュエーション」の名で理論化した考え方。この理論では、「未来は予測不能である」という前提を置き、どの程度まで損失が出るのかを事前に考えておくことが推奨される。研究チームが、成功を収めてきた起業家を分析した結果、あきらかになった手法である。
「楽観的な人のほうが平均寿命が6年長い」という報告も
【弟子】失敗の可能性は、事前に調べておくに越したことはないですもんね。
【猫師匠】ただし、「ポジティブ思考など無意味だ」と言いたいわけじゃないよ。あくまでポジティブ思考にも副作用はあるから、正しい用量と用法を見極めないと大失敗につながるという話だ(※9)。
【弟子】「大きく成功した姿をイメージしよう」とか「つねに前向きに生きよう」といったアドバイスをよく耳にしますけど、何も考えずに従うのは危険そうですね……。
※9 事実、ポジティブ思考のメリットを示したデータも多く、例えば「楽観的な人は、悲観的な人よりも平均寿命が6年長い」との報告もある。ポジティブとネガティブには、両方ともに相応のメリットとデメリットがあるため、どちらが良いという話ではない。