「自信がある」と答えた学生は「噓つき」と思われていた
【弟子】自信があっても仕事ができるわけじゃないんだぁ……(※2)。
※2 ペンシルベニア州立大学などの実験でも、似たような結果が出ている。この研究では学生の参加者を集め、そのうち半分には「あなたは能力がある」と伝え、根拠のない自信が育つように誘導した。
その結果、次のテストでは、根拠のない自信を持った生徒ほど成績が悪く、自分たちの過去の平均点すら下回ってしまった。こういった現象が起きたのは、根拠のない自信によって生徒たちが自分の才能に安心し、勉強のモチベーションが下がったのが原因だと考えられる。
【猫師匠】もうひとつ、ノースイースタン大学などの研究では、学生たちに「自信があるか?」を尋ね、その5年後に追跡調査をした(※3)。
すると、最初のアンケートで「自信がある」と答えた学生は、周囲から「あいつは信頼がおけない」「あいつは嘘つきだ」などと思われている確率が高かったんだ。
※3 101人の男女を対象に行われた調査。みなの自信と周囲の評価を調べたうえで、研究チームは「一般的な考え方とは異なり、高い自信は低い自信よりも悪影響が大きい。肥大した自己像にダマされているだけでなく、コミュニケーションの場面でも不利だ」と結論している。
自信がある人ほど嫌われやすい
【弟子】自信がある人ほど嫌われやすいってことですか?
【猫師匠】そうだ。つねに自信がある人は、他人よりも不安が少ないぶんだけ、自分の能力を高めるモチベーションがわきにくい。そのせいで、不安だらけの人よりも、スキルが上がらないことが多いんだ。
その結果、実際にはパフォーマンスが低いにもかかわらず、本人だけは自分の能力を1ミリも疑わない。このようなタイプは、セルフイメージがふくれあがったせいで他人の言葉を受け入れないし、自分は特別な人間だという意識も強いわけだ。
【弟子】それじゃあ他人から好かれるはずもないですね。