「自信がある人」は都合よく現実をねじ曲げているだけ

【猫師匠】ちなみに、自分のルックスに自信がある人たちを調べた研究では、参加者たちが周囲から美男美女だと思われている確率は5割だけだった。似たような傾向は知能や性格でも確認されていて、自分の見た目や能力に関しては、周囲からの評価がだいたい半分ぐらいズレるものなんだ(※4)

自分に自信がある人の大半は、たんに都合よく現実をねじ曲げているだけの可能性が高い。

※4 イリノイ大学のエド・ディーナーらの研究による。学生の身体的な魅力、主観的な幸福感、周囲からの評価などを調べ、それぞれの相関を見ている。

【弟子】うーん。実際には自信家が嫌われちゃうとしても、「根拠のない自信を持て」みたいなアドバイスはずっと人気がありますよ。それは、なぜなんでしょうか?

態度が堂々としていると思わず信じてしまう

【猫師匠】自信がもてはやされる原因は簡単だ。自信を持っている人の多くはナルシシズムが強いため、自分の成功や幸福を大げさに言いふらしやすい。

それに対して、たいていの人はそこまで他人を疑うわけではないから、堂々とした態度の人を見ると、思わず相手の言葉を信じてしまう。

腕を組んで考える人のイメージ
写真=iStock.com/byryo
態度が堂々としていると思わず信じてしまう(※写真はイメージです)

【弟子】普通に考えれば、おどおどした人よりも、自信に満ちている人を信じたくなりますもんね。

【猫師匠】しかし、仕事のパフォーマンスが高い人たちの研究をまとめると、実際には自信と能力のあいだに強い関係があるわけではない。

もし超一流の人たちが自信を持っていたとしても、それは彼ら彼女らが並外れて有能だったからだ。重要なのは、高い自信を持つことではなく、あくまで高い能力を持つことだよ。

【弟子】めっちゃ正論に落ち着きましたね……。