嫌なことを大幸運に転換するしたたかな極意
因縁の中でも、人間関係の問題は、何歳になっても私たちを悩ませる大きな要素です。
この章の冒頭に掲げたように、「『今日できないことは明日考える』という心の余裕を持とう」というマーク・マイヤーズの言葉のあとは、「たとえ嫌なことがあっても、力のある人には一歩譲っておく」「仕事ができる人や力のある人にがっかりさせられても、腹を立てない」と続きます。
年をとると、この世は非常に不公平であると痛感することが増えます。
普段から大して健康に気を遣っていないのに、ずっと病気をせずに元気な人もいれば、摂生していてもなぜか大病から逃れられない人もいる。早くに家族と離れてしまって孤独な人もいれば、いつまでも周りに人が集まっている人もいる。
いくつになっても現役で仕事をしている人もいれば、さんざん会社に貢献してきたのに、部下や上司とちょっと折り合いが悪かったばかりに、早々に追い出されてしまう人もいます。
すると、うまくいっていない人は、「自分の何がいけなかったんだろう?」「どこで人生を間違ったんだろう」と、過去をくよくよ振り返り、今現在の諸問題に集中できない悪いパターンにはまります。
「そういう因縁だったんだな」と納得して放っておく
うまくいかなかったのは、必ずしもその人自身が悪かったわけではありません。
仏教の言葉を借りれば、それも「因縁」で、ただ単に人生における巡り合わせで、そうなってしまっただけ。
結果に差が出たとすれば、それもまた因縁であり、別に悪いくじを引いたわけではありません。それがのちの大幸運につながることもあるのですから、いちいち過去を詮索せず、ただ現状をありのままに受け入れ、マーク・マイヤーズの言うように「力のある人には一歩譲っておく」。
そして、仕事のできる人に馬鹿にされたり裏切られたりして、落ち込むことがあっても、いちいち腹を立てずに、「そういう因縁だったんだな」と納得して放っておけばいい――それが賢い方法だと思うのです。