今ある答えらしきものは変わっていくかもしれない
たとえばレポートを出すにしても、100%まで完全に仕上げなければいけないと思うとすごく疲れる。でも、まあ70、80%できたと思ったところで提出すれば、ここはダメだよって多少は直されるにしても、そのほうが仕事は早くすみますよね。
一カ所も直されてはいけないと考えることがすでに、さっき言った「みんなにどう思われるか」思考なんです。直してもらってそれで仕事が終わるなら、それでいいじゃないかと思えるかどうかが大切です。
これは「真実は一つ」思考と似たところがあるんですが、世の中にはいろいろあるのだから、何かあってもそのまま受け入れる。
たとえば、多くの人がメタボはまずいとか、タバコはよくないとか決めてかかっているけれど、世の中の風潮や常識はその時々で常に変わる。たとえば、昔は「マーガリンは体にいい」って言われていたんですよ。だけど、マーガリンのトランス脂肪酸が体に悪いということになって、消費者離れが起こった。
でもこれだって、ずっと続くかどうかわからない。後々答えは変わっていくかもしれない。人は何千年も「働かざる者、食うべからず」と言ってきたわけですが、人類史上初めて、仕事はロボットがすべてやってくれる時代を迎えようとしている。いまや、そんな古いことを言う人はかえってジャマ者扱いされることになりかねない。世の中はそういうものです。
未来志向で考え、ストレス社会を賢く生きる
過去のことを悔やんでばかりいると、当然ストレスは溜まります。ああ、なぜ昔あんなことをしてしまったのだろうとか、あの時、あんなことを言わなければよかったとか、いくら後悔したって、いまさら変えようがない。それより、これからどうすべきかを考えたほうがずっといい。
かと言って、逆に、年をとってやたらに「昔モテた」自慢をするのも禁物。現状にストレスを抱えていると、ついつい「俺も昔は……」と過去に逃避したくなる。学歴をひけらかすのもNGです。
私も東京大学を出ているんですが、落ち目になってくると、どうしても「これでも将来を嘱望されていたんだ」「東大出てるんだ」と昔の栄光にすがりたくなる。昔の自慢をするようになったら終わりです。大事なのはこれからです。
コロナのせいでストレスまみれになっているうえに、外出を我慢して家に閉じこもっていたので、脳のコンディションも悪くなってくる。
太陽に当たらないとセロトニンが減ってイライラしやすくなるから、自粛警察のような「かくあるべし」思考がさらにひどくなる恐れもあります。正しく行動し、未来志向で考え、ストレス社会を賢く生きるよう心がけましょう。
本稿ではストレスを減らす思考様式について述べましたが、本書にはこのほか健康、医者や病院との付き合い、老いを楽しむなど、面白くてためになる全32編が掲載されています。是非ご一読ください。