幸せになりたいと願いつつも、それが叶う人が多くはないのはなぜか。ちょっとした習慣、考え方ひとつ変えるだけで誰でも幸せになれる。「プレジデント」(2023年11月3日号)の特集「人生の価値」より、記事の一部をお届けします――。
教養とは「自由になるための技術」
人生を価値あるものにするためには何をすべきか。一橋ビジネススクール特任教授の楠木建さんは語る。「まず、何より重要なのは自分なりの価値基準をしっかり確立することです。そのためにはいわゆる教養を身に付けることが必須になります。教養とは、学歴の高さや博識さではありません。さまざまな経験や実践、読書などによって地道に培っていくべきものです」
教養=リベラルアーツとは、「自由になるための技術」のこと。その対義語はメカニカルアーツ(機械的技術)。この分類は古代ギリシャ・ローマ時代に遡る。当時の社会には「自由市民」と「奴隷」の階層があり、奴隷の人々はメカニカルアーツを身に付け、専門知識を用いた仕事をした。奴隷とはいえ給料をもらい、仕事に関する創意工夫や裁量の自由があり、能力によって評価されるプロフェッショナルだ。「それに対して、リベラルアーツは実務よりも、『何をすべきか』という目的選択、価値判断に関わる技術です。リベラルアーツを身に付けているということは、その人に固有の価値基準を持っている状態と言えるでしょう」
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