「頭がいい人」とはいったいどんな人? 一方で「頭が悪い人」とはどんな人?『超訳 ニーチェの言葉』の著者が頭がよくなる思考術を伝授する――。
高学歴のあの人は本当に頭がいいのか
最近、「頭がいい人」についておかしな決めつけがはびこっているように思います。例えば、相手を論破できる人こそ頭がいい、とされているようです。これは、『論破力』などの著書を出して、「論破王」と呼ばれている実業家のひろゆき(西村博之)氏の発言の影響があるのでしょうか。「高齢者の集団自決」の問題で炎上した成田悠輔氏のように、過激で非現実的な意見を持つ人物が、「論客」としてブレークしたのも、その背景にあるのでしょう。
そうした「論客」なる人は一種のコメディアンなのでしょうか。おもしろおかしくディベートをするのはかまわないのですが、そこでは表面的な事柄だけに終始し、本質を突いた建設的な内容になっていません。そういう対話遊びは相手をたんに「言い負かす」だけが目的の不毛で冷笑的な論戦ゲームにすぎず、相手の主張のわずかに不用意な点を突く「揚げ足取り」をしたり、詭弁を弄して相手を困らせたりしているようにしか見えません。
相手を「論破する」人は、「頭の回転が速い」「論理的な思考力やコミュニケーション能力が高い」と見えるのかもしれません。とはいえ、相手を言いくるめる技術は、知的能力のほんの一部です。その部分についての無責任な評価だけを真に受けて、「あの人は頭がいい」と断定するのは、それこそ「頭が悪い証拠」の一つでしょう。
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