5年前サウナにハマったきっかけ

本書がきっかけとなってサウナにハマり、みなさんにはどんどん健康になっていただきたいと願ってやまないのですが、本編に入る前に私自身がサウナにハマったきっかけについて、簡単にお話しておきたいと思います。

私がサウナにハマったのは、親友であり実業家の本田直之さんの存在がきっかけでした。

彼はかなり前からサウナにのめり込んでおり、日本国内のみならず、世界各国のサウナをめぐっていて、その経験からビジネスパーソン向けに『人生を変えるサウナ術』(松尾大氏との共著。KADOKAWA)という本まで出版しています。

その本田さんから、私はサウナ話をしょっちゅう聞かされていたのです。

このプロローグの冒頭でも述べたとおり、当時の私はサウナについて、

「健康にいいわけがない」

と思い込み、決していい印象は持ち合わせていませんでした。

しかし、彼のサウナ話をくり返し耳にしているうちに、

「サウナって、本当にそんなにいいのかな?」

そう心が少し動いたのでした。

以前から私はあるホテルのスポーツクラブに通っているのですが、もちろんそこにもサウナや水風呂が完備されていました。

いままではサウナの前を素通りしていた私が、ついにサウナ室の分厚い扉を開くことになったのは、およそ5年前のことです。

正直、最初はサウナの熱気が耐えがたいものに感じましたし、水風呂の冷たさにも凍えそうな不安を覚えたものです。

写真=iStock.com/ultramarinfoto
※写真はイメージです

根源的なやさしさが満ちるような幸福感を得られる

しかし、サウナ初日であるにもかかわらず、我慢がいらない程度にサウナに入り、そのあと凍えそうな水風呂ではなく、水シャワーを浴びる……ということを2~3回くり返してみると、なにやら体の中に根源的なやさしさが満ちるような幸福感……その名状しがたい気持ちよさに気がついてしまったのです。

長年、自律神経と腸に関する研究を続けてきた私ですので、そのときすぐにこう思いました。

「サウナには、どうやら自律神経のバランスを整える効果があるようだ……」

それから私は毎日ほぼ欠かさず、サウナに入ることが習慣となったのです。

しばらくサウナを続けるうちに、朝にサウナに入ると心身ともに調子がよくなり、日中の脳のパフォーマンスが向上することを実感できるようになりました。

また、サウナには自律神経のバランスを整える効果だけではなく、体調の変化を察知して脳にさまざまな指令を出す、いわば「司令塔の臓器」として働く腸にもよい効果を与えることがわかってきました。

実は「腸を温める」ことによっても、私たちはさまざまな健康効果が得られるのです。

サウナに5年間親しんでみて、私なりのルーティンもできました。

そのルーティンとは、1回7分間サウナに入り、そのあとに水シャワーを浴び、休憩する……これを毎日(できれば朝に)2~3回くり返すというものです(水風呂ではなく、水シャワーを浴びるのは、私が通うスポーツクラブの水風呂の水温がサウナ上級者向けの低温で、私自身に合わないためです。

私と同じ医師である加藤容崇さんの著書『医者が教えるサウナの教科書』(ダイヤモンド社)によれば、水風呂の最適な温度は16~17度とのことですが、それと同程度の水温であれば私も水風呂を利用しています)。