睡眠の質はどうすれば高められるか。順天堂大学医学部の小林弘幸教授は「私たちの体は、深部体温が低下すると休息モードとなり眠気を覚えるようになる。この深部体温は一度上げてからの方が低下しやすいため、サウナに入ることでぐっすり眠れるようになる」という――。

※本稿は、小林弘幸『医者が教える 心と体が本当にととのう サウナ習慣』(Gakken)の一部を再編集したものです。

ベッドに横たわり、夜にスマートフォンを使用する女性
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日本人の5人に1人が陥る不眠症の正体

「夜、なかなか寝付けない……」
「夜中に何度も目が覚めてしまう……」
「朝、目覚めても体の疲れがとれない……」

日本人の5人に1人、60歳以上の高齢者では3人に1人が、何らかの不眠症を抱えているといわれています。

不眠症の問題を考えるときには、もちろん睡眠時間が十分であるかという問題も無視できませんが、何より「睡眠の質」の良し悪しについて見直してみる必要があります。

では、「睡眠の質」とは、どんなことをいうのでしょうか。

仮に睡眠時間を7時間と仮定すると、およそ入眠から3時間を前半部、その後の4時間を後半部として分けることができ、前半部と後半部はそれぞれ、体の中では睡眠中に異なる作業がおこなわれています。

睡眠時には、「レム睡眠」と呼ばれる浅い眠りと「ノンレム睡眠」と呼ばれる深い眠りが約90分サイクルでくり返されます。

入眠からおよそ90分後に現れるノンレム睡眠が最も深い眠りのピークとなり、その後、レム睡眠とノンレム睡眠はともに、徐々に浅くなりながら朝目覚めることになります。