近年のサウナブームはなぜ起こったのか。順天堂大学医学部の小林弘幸教授は「サウナには自律神経のバランスを整える効果がある。私も5年前はサウナを『健康にいいはずがない』と決め込んでいた。しかし、親友からサウナ話を聞いて試してみると、根源的なやさしさが満ちるような幸福感を得ることができた」という――。

※本稿は、小林弘幸『医者が教える 心と体が本当にととのう サウナ習慣』(Gakken)の一部を再編集したものです。

サウナ暖かいイメージ
写真=iStock.com/maroke
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「こんなに熱くて苦しいものが、健康にいいわけがない」

この日本に空前のサウナブームが訪れるなんて、誰が予想できたことでしょう。

実は私自身も、5年ほど前にサウナの魅力にとりつかれるまでは、

「こんなに熱くて苦しいものが、健康にいいわけがない」

そう思い込んでいたのです。

そもそも日本人にとってのサウナとは、比較的年齢の高い男性を中心としてニーズを集めているものでした。

それも純粋にサウナを楽しむだけではなく、ときには冷たいビールをよりおいしく飲むための脱水の手段であったり、二日酔いを解消するためにアルコールを抜く荒療治だったりと、サウナは医学的見地ではとても推奨できない誤った使われ方もされてきたのです。

しかし、いまのサウナブーム下では、まったく違う様相を呈しています。

長年サウナに親しんできた中高年男性だけでなく、男女を問わず、多くの若い人たちが、いわゆる「ととのい」を求めて、サウナにやってきます。

この現象は、とてもよろこばしいことだと思います。