サウナで「ととのう」とはどのような状態なのか。順天堂大学医学部の小林弘幸教授は「血流がよいことは、健康に直結する。サウナはこの血流をよくするための『血管の筋トレ』である。体が温められて拡張していた血管が一気に収縮し、外気浴や室温での休憩で再び緩やかに拡張し、血液がスムーズに流れ出すと『ととのった』という状態になる」という――。

※本稿は、小林弘幸『医者が教える 心と体が本当にととのう サウナ習慣』(Gakken)の一部を再編集したものです。

足に触れ、静脈を見ている
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健康とは「血流がよいこと」である

「サウナがなぜ体によいのか?」をご説明する前に、そもそも「体によい」とはどういうことかについて考えてみましょう。

「何をどのように食べるのか?」という食生活、日中の活動のしかたや睡眠などの生活習慣、運動の習慣やストレス対策などについて、今日さまざまな健康法が提唱されています。

本書が陳列されている書店の健康本コーナーでも、あまたの本のタイトルが百家争鳴(ひゃっかそうめい)の状態となり、読者のみなさんはどの本を手にとるか、きっと迷ってしまったことでしょう。

もちろん、さまざまな健康法があってよいのですが、実は私が考える健康の概念とは、とてもシンプルなものです。

究極的にいえば、健康とは「血流がよいこと」です。

血液の流れがスムーズになれば、全身のすべてが健康になりますし、その逆に血流が滞ってしまえば、どんな健康法を実践しても意味がありません。

つまり、実践した健康法が効果的であったとすれば、それはその人の血流が改善されたということです。

「血流をよくする」効果とは、たとえば「胃腸にいい」とか「腰痛に効く」などという部分的なものではなく、それは全身のすべての臓器や組織に好影響を与えるトータルケアにほかなりません。