サウナによる大きな健康効果

血管を鍛える方法は、ソフトとハード、2つの方法があります。

ソフト面でいえば、食事です。

血管を傷つける高血圧を防ぐために塩分の摂取量を控える、あるいは血管をやわらかくしなやかにする効果のあるEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)が豊富に含まれるオメガ3系のオイルを積極的に摂る……などが推奨されています。

一方、ハード面で本書がおすすめするのがサウナです。

サウナは、血管を鍛えるために大変有効な方法です。

くわしくは本書で紹介していますが、サウナで体を温めてから、水風呂や水シャワー、外気浴によって体を冷やす……これを複数回くり返すことによって、全身の血液の流れが促進され、また自律神経にも適度な刺激を与えることができます。

このことによって、大きな血管である動脈と静脈、小さな血管である毛細血管、さらに自律神経のコンディションも向上させることができるのです。

同じ効果は運動によっても得られますが、サウナであれば、運動が苦手な人であっても容易に毎日利用できるため都合がよいと思います。

サウナで血流をよくすれば、血管がしっかりと鍛えられて、その結果、血流がさらによくなって……といったように「血流をよくする」ことと「血管を鍛える」こととが相乗効果を生むため、サウナを日々の習慣にすれば大きな健康効果が期待できます。

突然死を引き起こす合併症の危険もある動脈硬化、また毛細血管のゴースト血管化など、血管におけるさまざまな健康リスクを予防・改善し、さらには自律神経のバランスも整える……サウナによる健康効果は絶大であると考えます。

ぜひみなさんにも、血管の筋トレとなるサウナを利用していただきたいと思います。

自律神経とは人間の「生命維持装置」

サウナは、自律神経に適度な刺激を与えることで、常日頃から崩れがちな自律神経のバランスを整えてくれます。

自律神経とは、自らの意志によって筋肉などを動かすことができる神経とは異なり、私たちの意志とは関係なく、無意識下で働き続けている神経のことです。

主に血管に沿うように全身へと張りめぐらされ、血管やその他の内臓組織をコントロールしながら生命活動を維持するために働いています。

この自律神経の働きのおかげで、睡眠中であっても呼吸は止まらず、心臓などの臓器も働き続けることができるわけです。また、血液の流れをコントロールしているのも自律神経です。

つまり、自律神経とは人間の「生命維持装置」のようなものなのです。

自律神経には、活動時に優位になる「交感神経」とリラックス時に優位になる「副交感神経」の2つがあり、どちらか一方が20~30%程度優位になる状態でバランスをとりながら、24時間365日休むことなく働いています。

簡単にいえば、私たちの体は交感神経が優位になると活動的になり、副交感神経が優位になると眠くなります。

自律神経がどのように血管に作用するのかといえば、交感神経が優位になると血管が収縮して血圧が高くなり、副交感神経が優位になると血管が拡張して血圧が低くなるのです。

つまり、交感神経は血圧を高くすることで俊敏に体が動かせるように備え、逆に副交感神経は血圧を下げて体を休める態勢を整えているわけです。

自律神経の働きはよく車に例えられるのですが、交感神経はアクセル、副交感神経はブレーキのようなもの……と解説される所以はここにあります。