免疫細胞の活躍はスムーズな血流があってこそ

では、なぜ血流をよくすると全身のすべてが健康になるのでしょうか?

その答えは、血液が果たしている役割を理解すれば、おのずとわかります。

血液が果たしている最大の役割とは、全身の細胞組織に酸素や栄養を送り届けて、代わりに二酸化炭素や老廃物を回収することといえるでしょう。

血液の流れがスムーズであればこそ、全身の細胞組織は十分な酸素と栄養を得ることができますし、さらには老廃物が蓄積することなく、活発に生命維持活動をおこなうことができるのです。

仮に血流が滞ってしまえば、全身の細胞組織において酸素と栄養が欠乏し、細胞内に老廃物がたまってしまうため、体にさまざまな不調が現れます。

体を守る免疫系に関しても、血液は重要な働きをしています。

血液の成分のひとつである白血球には、さまざまな種類の免疫細胞がありますが、この免疫細胞は血液の流れにのって全身をめぐり、さまざまな不調や病気につながる病原体を探してパトロールしています。

病原体を見つけると、不調や病気を未然に防ぐべくすぐさま攻撃して、また病原体に細胞が侵されてしまった場合には、その細胞を排除して体調を改善しようとします。

つまり、免疫細胞の活躍もスムーズな血流があってこそ……なのです。

仮に血液の流れが滞ってしまえば、全身のパトロールも十分にできませんし、病原体に打ち勝つための免疫力も低下してしまいます。

また、免疫細胞だけでなく、あらゆる細胞組織の働きを調節して、生命活動を支えているさまざまなホルモンを全身に運んでいるのも血液です。

私たちの体を構成する37兆個といわれる細胞のすべてが健康であるためには、「血流がよいこと」が絶対条件となるわけです。

サウナとは「血管の筋トレ」である

では「血流をよくする」ためには、どうすればよいのでしょうか?

その答えとは、ズバリ「血管を鍛える」ことです。

血管は大きな血管である動脈と静脈、小さな血管である毛細血管の3つに大別されます。

改めていうまでもなく、血液は血管の中を流れていますが、その流れをコントロールしているのが私の専門分野である自律神経です。

つまり、「血管を鍛える」ためには、動脈と静脈、毛細血管という血管だけでなく、自律神経も鍛える必要があるのです。

そして、サウナには血管と自律神経を鍛える絶大な効果があるのです。

この根拠に基づいて、私はサウナとは「血管の筋トレ」であると提唱しています。

「血管を鍛える」ためには、「血流をよくする」ことが重要です。

「卵が先かニワトリが先か」という話に聞こえるかもしれませんが、「血流をよくする」ために「血管を鍛える」とき、その手段もまた「血流をよくする」ということになるのです。

とはいえ難しく考える必要はなく、ただ「血流をよくする」ことさえ実践すれば、自然に血管は鍛えられ、その結果、ますます血流がよくなり、血管もさらに強くなっていく……そう理解していただければOKです。