優秀な人を動かすことで、平均以下の人材が奮起する

②職場のナンバーワン、ナンバーツーを動かす(成績の良い人、昇格した人を中心に異動させる)

仕事ができる人は、その仕事が合っているのだから異動せずに固定することでどんどん成果を上げる、と考えがちです。でもそれは間違いです。

「仕事ができない人」を動かすのではなく、「仕事ができる人」を頻繁に動かします。

仕事ができる人を率先して動かす理由は、「飽きさせないため」という理由のほかに、「若手社員や、伸び悩んでいる社員の成長をうながす」という目的からです。

武蔵野の人事評価は、グループ内の相対評価です(本部長職は絶対評価です)。相対評価とは、グループに属する社員を比較して、評価結果に順位をつける考え方です。

賞与額、昇給額、昇格・昇進はすべて、相対評価の成績によって決定しています。会社の業績が良くても悪くても、必ず順位がつきます。

人事評価が良い「A評価以上の社員」が全体の「25%」。人事評価が良くない「B評価以下の社員」が全体の「75%」です。

では、「ナンバーワン、ナンバーツー」あるいは、「A評価以上の社員(成績が良い社員)」を動かすと、どうなるか。

答えは、B評価以下の社員が成長して、層の厚い組織になります。

組織は、「優秀な2割」「平均的な6割」「貢献度の低い2割」で構成されると考えられています。「2・6・2の法則」です。

この法則では、上位2割がいなくなっても、残りの8割に優劣が生じて、再び2・6・2の割合に分かれるとされています。今までは平均的、あるいは貢献度が低かった社員(B評価以下の社員)は、上位2割が抜けたことで、「上位に上がれる可能性」が生まれます。

上がいなくなれば、「次は自分がA評価を取れるかもしれない」と奮起します。その結果、元の2・6・2の割合に戻り、組織は全体的により強くなるのです。