多忙な日々に追われているうちに、自分の本来の目的を見失ってしまうことがある。グロービス経営大学院教授の若杉忠弘氏は「心理学の観点からすると、外からの圧力によって内発的なモチベーションが低下するのは自然の流れ。自分自身を取り戻すために有効な3つのプロセスがある」という――。

※本稿は、若杉忠弘著『すぐれたリーダーほど自分にやさしい』(かんき出版)の一部を再編集したものです。

家をデザインするアジアの建築家
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仕事を回せて成果を出していても、ふと不安に思うこと

今、ビジネス環境が目まぐるしく変わっています。AIなどの新しい技術はあっという間に、今までのスキルや知識を陳腐化させると言われています。この速い変化に追いつくために、リーダーは、絶えず新しいことを学び、自分をアップデートし続ける必要に迫られています。

リーダーとして飽くなき成長を追求することで、企業の期待にも応え、自分も成功を手に入れることができます。しかし、このような頑張り方をし続けていると、ふと、こう思う瞬間が訪れるはずです。

「あれ? 自分はいったい、何のためにこんなに頑張っているのだろう」
「そもそも、自分は何をしたいのだろう」

仕事は回せている。それなりに成果を出せているときもある。でも、自分がわからなくなってしまうのです。そして、こう思うのです。

「果たして、このままの延長線上に自分のキャリアはあるのだろうか」

心理学の観点からすると、これは自然な結果といえます。外側からの期待や評価に応えようとすればするほど、内から湧き上がる本当の想いや情熱が抑え込まれてしまいます。外からの圧力で、自分を急き立てるようにモチベーションを高めていると、内発的なモチベーションが低下してしまうのです。