「ダイバーシティ宣言」をもとにミスコンを批判
しかし、法政大は違った。「ダイバーシティ宣言」(2016年6月8日)をいわば適用させたのである。
同宣言には、「性別、年齢、国籍、人種、民族、文化、宗教、障がい、性的少数者であることなどを理由とする差別がないことはもとより、これらの相違を個性として尊重する」という一節がある。これに照らし合わせると、ミスコン、ミスターコンは「主観に基づいて人を順位付け」するもので、「相違を個性として尊重する」という理念に反しており看過できない。法政大はこう言いたかった。
当時、法政大総長だった田中優子さん。「ミスコン」について、こう話している。
「そもそも生き物は男と女しかいないわけではない。ダイバーシティ宣言の中にも『LGBT』という言葉が据えられているように、性の多様性は社会の中でもはっきりとしてきたことだ。それなのに、なぜ『ミスとミスター』なのか。また、美醜についての判断は文化によるものである。例えば、戦後の女性雑誌の表紙の多くが白人女性だった。これは人種に基づいた極めて偏った基準で、優生思想だといえる。
容姿だけでない様々な基準での審査は面白いかもしれないが、しょせん人の生きてきた全てを比べることはできない。比べられないことこそがダイバーシティなのであり、それを大切にしなければならない。それなのに、学生のミス・ミスターが選出されると『この人が美しい』というある種の教育を受けることになってしまう。学生たちは、自分の個性に自信を持つことが必要である。個性を理解し自信を持つことで成長できるからだ。
『ミス/ミスターコン』に限らず、ランク付けはいかなる場合でも非常に注意深く対応しなくてはならない」(「法政大學新聞」2020年4月20日号)