「スーパーフリー事件」をきっかけにミスコンを禁止した早稲田

なお、慶應義塾大、中央大のミスコンはコンテスト正式名称のあとに「supported byリゼクリニック」がつく。リゼクリニックは「全国25院を展開する医療脱毛専門クリニック」(同社ウェブサイト)であり、大学ミスコンの有力なスポンサーの1つだ。

ミスコンのグランプリには賞金20万円、全身医療脱毛30万円相当、ファッション誌『CanCam』の掲載権を与えている。医療脱毛のクリニックとしては学生を利用できると考えたわけだ。一方で、「気持ち悪さを感じる」とミスコンファイナリストを辞退した学生がいる。

ミスコン非開催の大学を見てみよう。

まず早稲田大である。1980年代から、「ミス早稲田」を標榜するコンテストが開催されていた。水着審査を行うことでも知られていた。2003年、早稲田大の学生サークル「スーパーフリー」による集団強姦事件が発覚する。

首謀者が退学処分となった7月1日、大隈講堂では、ミス早稲田キャンパスアイドルコンテストが開催された。同コンテストでは候補者7人が浴衣、水着で登場する。水着のまま「尻相撲」を行い、スーパーフリー首謀者の名前を冠したゲームが行われた。腰に万歩計をつけて体をくねらして、10分間で万歩計の数が多かった候補者が優勝するという趣向だった。性行為を連想させることもあって、学内外で大問題となり批判が殺到する。

大学は「事件を想起させる不適切な企画があった」として、これを機に「早稲田」と名のつくミスコンはいっさい禁止されたと言われている。学生部は取材に応じこう話している。

「きちんとした審査員がいるわけでもなく、容姿で女性を選ぶのは、どんな口実をつけてもダメです」(「朝日新聞」2009年11月16日)

ミスコンに「ノー」を突きつけた法政大

2019年、法政大がミスコン、ミスターコンに「ノー」を突きつけた。ウェブサイトで大学施設を使ったコンテストを認めないと、次のように宣言したのである。

法政大学市ケ谷キャンパス・ボアソナード・タワー
法政大学市ケ谷キャンパス・ボアソナード・タワー(写真=ペン太/CC-BY-2.5/CC-BY-SA-3.0-migrated/Wikimedia Commons
「本学では、2016年6月に『ダイバーシティ宣言』を行いましたが、ダイバーシティの基調をなすのは『多様な人格への敬意』にほかなりません。『ミス/ミスターコンテスト』のように主観に基づいて人を順位付けする行為は、『多様な人格への敬意』と相反するものであり、容認できるものではありません。(略)いかなる主催団体においても『ミス/ミスターコンテスト』等のイベントについては、本学施設を利用しての開催は一切容認されないものであることをご承知おきください」(法政大ウェブサイト2019年11月29日)

大学がミスコン、ミスターコン開催の是非について見解を示すのは、きわめてめずらしい。そもそも、コンテストは大学祭などで学生が企画、運営するものであり、基本的に大学側は口を挟んだりしないものである。