早慶MARCHなどの私立大学の「大学ミスコン」は、これまで多数のアナウンサーを輩出してきた。だが、ジェンダー平等などの観点から、ミスコンを中止する大学が増えている。教育ジャーナリストの小林哲夫さんは「法政は2019年から、早稲田は20年前から大学ミスコンを中止している。一方、慶應や青山学院などは、大学非公認ながら、大学名を冠したミスコンが依然として行われている」という――。(第2回)
※本稿は、小林哲夫『早慶MARCH大激変 「大学序列」の最前線』(朝日新書)の一部を再編集したものです。
早慶MARCHで分かれたミスコン対応
2020年代に入ってコロナ禍でリアルな大学祭が行われないなか、大学ミスコンに対する熱気は下火になったのではと思われがちだが、そんなことはなかった。SNSによる動画配信、投票などで盛り上がっている大学はある。一方、ジェンダー平等、ルッキズム(外見主義)への疑問、性の多様性尊重から旧来型のミスコンをやめたところもある。上智大、東京女子大などだ。
2022年、早慶MARCHで大学ミスコンは行われたのだろうか。つぎのように分かれた。
開催:慶應義塾大、青山学院大、立教大、中央大、明治大
非開催:早稲田大、法政大
非開催:早稲田大、法政大
具体的にはどういう状況になっているのか。開催校からみてみよう。まず慶應義塾大である。2022年、「ミス慶應コンテスト」「ミス慶應キャンパスコンテスト」の2つが行われた。
「ミス慶應コンテスト」は1970年代から続いており、多くのアナウンサーを送り出してきた。しかし、2016年主催者の広告学研究会が女子学生に対する性暴力事件を起こしてしまう。大学は看過できず広告学研究会に解散命令を出し、同年の「ミス慶應」は中止となった。しかし、翌年には学生有志で再開される。2019年には、2つの団体が慶應ミスコンを企画したが、のちに一団体が取りやめるというゴタゴタがあった。