私のイメージでは、時間が経つにつれて記憶は徐々に沈んでいく。何か手がかりがないとつかめなくなります。
ですから、記憶は、関連づけで思い出せます。何かを思い出すと、それとの関連で芋づる式に出てくるのです。
人間の脳は「検索」ができない
忘れてしまった人名を思い出すために、「あ」から順に確かめることを、多くの人がやっているでしょう。最初の1文字との関係で、名前を思い出せることが、よくあるからです。「か」まで来て、「加藤君だった」と思い出す、といった具合です。
デジタル情報の場合も、時間が経つと、記憶装置には残っているが、引き出せなくなります。ですから、「検索」は偉大な発明です。
ところが、人間の脳にある情報に対しては、「検索」はできません。仮にできても、検索語が分かりません。
文章を丸暗記する
では、どうしたらよいでしょうか?
単語ではなく、文章を丸暗記すればよいのです。なるべく長い文章(できれば本1冊)を暗記します。文章を覚えていると、1つのきっかけから大量の記憶を引き出せます。
私がこの方法を発見したのは、中学生のときでした。学校の代表として英語弁論大会で話す必要があり、スピーチの全文を覚える必要があったからです。そのとき、最初を思い出せば、つぎは自動的に出てくる、どこか途中を思い出せばその後は出てくる、ということに気づきました。
そこで、高校生になってからは、ひたすら文章を暗記しました。翻訳はしません。ただし、意味は理解します。