分解法では英語ができるようにならない

日本人の多くが、分解法で英語を勉強しています。これは、単語を覚え、それを文法でつなぎ合わせようという方法です。

しかし、この方法はうまくいきません。なぜなら、日本語と英語は、異なる体系の言語だからです。

同じ系統の外国語の間でも、分解法より丸暗記法のほうがよいのです。シュリーマンはドイツ人です。英語とドイツ語は同系統の言語ですから、分解法でもできるでしょうが、それでもなお、丸暗記しました。

フォン・ノイマンはハンガリー人で、ハンガリー語は英語とかなり違う系統の言語なので、丸暗記は合理的です。ましてや、日本人の場合はそうです。

英語と日本語の単語は一対一の対応をしない

例えば、haveという言葉の意味を「持つ」と覚えるのは、間違いです。それ以外の意味がたくさんありますし、現在完了形にも使われます。また、I have got to do.といえば、I must do.の意味になります。haveを「持つ」と考えると、混乱するでしょう。

野口悠紀雄『超「超」勉強法』(プレジデント社)
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逆に、「持つ」という意味の英語は、haveだけではありません。bear、carry、wear、hold、possessなど、さまざまなものがあります。これらを、場合によって使い分ける必要があります。

このように、日本語と英語の単語は、一対一の対応をしません。多対多の対応になるのです。これは、動詞の場合にとくに顕著です。do、get、let、makeなどの言葉について、haveと同じような問題があります。

ですから、英語の言葉を単語帳で覚えようとすれば、混乱するばかりです。それらの言葉が使われている文章を覚えるしか、方法はありません。