単語帳を片手に必死に英単語を覚えても、いっこうに英語のレベルは上がらない。その一方で、みるみる上達していく人たちがいる。何が違うのか。『超「超」勉強法』を著わした野口悠紀雄さんは「何カ国語も操る“語学の天才”たちがいます。共通して実践していたのは、じつは文章の丸暗記法なのです」という──。(第2回/全7回)

※本稿は、野口悠紀雄『超「超」勉強法』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

単語を覚えるのでなく、文章を丸暗記する

多くの人が、単語帳を使って英単語を覚えようとしています。意味を知らない単語を単語帳に書き出し、それを覚えるという方式です。

しかし、この方法では、いつになっても英語は上達しません。単語帳の言葉を1つ1つ、別々に、孤立して覚えようとしても、できません。

人間は関係のないものを、バラバラに覚えることができないのです。だから、英単語を孤立して覚えることはできません。これは外国語に限ったことではありませんが、とくに外国語についてはそうです。

本と文字
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言語は「つながり」で覚えるもの

その証拠は、略語を覚えるのが難しいことです。例えば、SDGs、NFT、IoT、WHO、LGBTなど。SDGsだったか、それともSGDsだったのか、分からなくなったりします。

略語を覚えるより、もとの言葉を覚えるほうが、ずっと楽です。例えば、SDGsでなく、Sustainable Development Goalsのほうが覚えやすい。意味を知って覚えるからです。

意味がないことであっても、つながっていれば、そして繰り返せば、覚えられることがあります。そして忘れません。「門前の小僧習わぬ経を読む」といわれる通りです。

記憶は関連するものの芋づる式

記憶を確実にする方法は、覚える内容を長くすること、そして、意味ある内容を覚えることです。できれば、ひとまとまりの文章として覚えることです。

記憶は、人間の頭の中にいつまでも存在するけれども、引き出せなくなってしまうのです。忘れてしまうのではなく、思い出すのが難しいのです。