少子化は日本以上に深刻
2021年の世界の人口に関する報告書(国連人口基金)によりますと、韓国でひとりの女性が生涯に産む子どもの数の平均は1.1人です。これは調査対象となった198カ国で最下位です。2020年から2年連続で最下位を記録しています。
全人口のうち0~14歳が占める割合も、12.3%で、日本と並んで最下位です。これは1位のニジェール共和国(49.5%)の約4分の1にとどまっています。世界平均(25.3%)の半分にも足りません。
一方で、65歳以上の人口が占める割合は16.6%です。198カ国のうち65歳以上の割合がもっとも高い日本(28.7%)に比べると、10ポイント以上低いですが、それでも世界平均の9.6%を大きく上回っています。韓国でも少子高齢化は日本と同じく大きな課題になっているのです。
複雑な日本との関係
日本と韓国は1965年に日韓基本条約を結び、国交を正常化しました。同時に、日本は5億ドル(当時のお金の価値で約1800億円)の経済協力資金を韓国に提供する協定も結びました。日本は戦争中に韓国を植民地にしていましたが、このとき植民地時代の問題は解決したとお互いに確認しました。ところが、最近になっても植民地時代のできごとで賠償金を求める裁判が韓国国内で起きています。
韓国は1965年の話し合いで日本からもらったお金を使い、「漢江の奇跡」と呼ばれる急速な経済成長を記録しました。ただ、当時の韓国は民主化前で、軍事独裁政権でした。民主化を求めるデモなどの動きもありましたが、徹底的に弾圧されていました。ですから、1965年の約束についても、軍事独裁を正当化するためには経済発展が必要と考えた政権が、まとまったお金を日本から得るかわりに、植民地支配に対する日本の責任をじゅうぶんに問わずに結んだと考える人がいまでも少なくないのです。実際、韓国の高校の歴史教科書にもそのように記述されています。日本政府が過去の問題の解決の根拠にしている約束を、韓国の学校では否定的に教えているわけです。
一方で、日本政府は昔の問題は解決済みとしていますから、新たな賠償には応じない姿勢です。そうした食い違いで対立が起きています。
日本と韓国は隣の国同士です。いがみ合い、対立しても良いことはありません。最近は若い人は映画やドラマ、化粧品や食べものなどを通じてひと昔前に比べてお互いの国への偏見が少なくなっているともいわれています。未来に向けて良い関係を築くことが日韓両国だけでなくアジアにとっても大きなプラスになるはずです。