かつての勢いを失ったガラパゴスの日本

【彦】それならば、日本もそうして世界に市場を広げればよかったじゃない。

【うめ】そうなんだけど、結局、日本は機能がたくさんあって性能がよいモノづくりをやめられなかったの。それは、日本人にはそういうのを好む人がいたからね。「ガラパゴス携帯」(※4)って、彦の年齢ならば聞いたことがあるでしょ?

【彦】スマホが普及する前に一般的だった、多機能化した日本独自の携帯電話でしょ。ワンセグとか絵文字とか。

【うめ】そう。あんなの海外携帯にはないのよ。日本は国内に人口がそれなりにいたから、大胆に戦略を変えることなく会社を経営できたの。大きな会社の社長はだいたい3年から4年で変わる。そうすると、そのときの社長さんも「自分が社長のときは大丈夫」と思って、誰も大きな方針転換をしなかったのね。

【彦】で、そのまま、気づいたら世界から取り残されちゃったってことか。

【うめ】そういうことねぇ……。でも、みひろちゃんたちには希望があるわ。これからは人口も減っていくし、そうすると海外の市場を見ざるをえないから。ガラパゴスじゃ生きられない未来が待っているはずよ。

【みひろ】それ、希望っていうのかな……。ガラパゴス諸島の生きものは島を出てうまく生きていける? 進化しなきゃいけないよね、きっと。それってとても大変そうなんですけど!

※4 生態系が外部とは隔離されて独自に進化を遂げてきたガラパゴス諸島みたいだから、「ガラパゴス携帯」と呼びました。略して「ガラケー」とも呼ばれています。

韓国に徴兵がある理由

韓国の成人男性は兵役の義務を負い、兵士として約2年間、軍事訓練を受けます。訓練が終わった後も8年間は予備役として年に数回、訓練に参加します。

韓国の人に話を聞くと、兵役が好きな男性はほとんどいません。20代で軍隊に多くの時間をうばわれるのは想像するだけでも大変です。ですから、最近では、徴兵検査を拒否したり、国籍を変えてまで徴兵を逃れたりする若者も増えています。

ただ、多くの若者は仕方なく兵役につきます。なぜならば、韓国はいまだに隣の北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)と「戦時中」だからです。北朝鮮とは休戦中ですが、決して戦争が終わったわけではありません。ですから、韓国内で就職するなら兵役に就いたほうが有利ともいわれています。就職する際に企業も服務経験を重視しています。

世界ではどうでしょう。米国はベトナム戦争から撤退した1973年以降、徴兵制から志願制に切り替えています。フランスも2001年から志願制を採用しています。一方、ノルウェー(2015年から女性も)、スイス、オーストリアなどは徴兵制を維持しています。スウェーデンは兵役の義務を2010年に廃止して志願制に移行しましたが必要な兵が足りなくなってしまいました。そのため、男性だけでなく、女性も対象に加えて2018年に再開しています。