かつては地域のスポーツ少年団といえば野球しかなく、黙っていても子どもたちが集まってきたかもしれないが、現在はサッカーやバスケットボールも盛んだ。子どもたちに積極的に野球の魅力を伝えていかないと競技人口の減少には歯止めがかからないだろう。

監督やコーチが罵声を浴びせ、子どもたちがやめていく

野球にも新たな動きがある。それは、5人制のベースボール5(BB5)という新種目だ。

これは男女混合でゴムボールを使った言わば「手打ち野球」で、バットやグローブを使用しない。野球の内野くらいの18メートル四方のフィールドで行い、塁間も野球の半分程度の13メートルとコンパクトだ。

2021年8月24日に開幕したパラリンピック期間、東京・青海地区に設けられた「2020FAN PARK」で体験会が実施された。

参加者の中には野球をしたことのない子どもたちも多かった。ときには、一塁ベースへ走らず、自分が打ったボールを追いかける子どももいた。

体験会をサポートする関係者は「野球ができる環境は日本でも減っています。サッカーやバスケ、スイミング、テニス、いろんな選択肢がある中で、せっかく野球をやろうという子どもたちがいても、残念ながら、監督やコーチが罵声を浴びせるような指導でやめていくこともあります。本当にもったいない。子どもなんだから、うまくできなくて当たり前。まずは楽しくプレーしてもらうように興味を持ってもらうことが指導現場に求められていますよね」と話す。

「怒声・罵声は禁止」のチームが人気

「野球少年を増やしたい」「楽しくプレーしてほしい」とこれまでのイメージを刷新しようとしているチームもある。

野球専門メディア「Full-Count(フルカウント)」の記事では、神奈川県川崎市の「ブエナビスタ少年野球クラブ」の取り組みが紹介されている。

田中充、森田景史『スポーツをしない子どもたち』(扶桑社新書)

このクラブでは怒声・罵声は禁止で、練習時間は土日いずれかの半日、保護者のお茶当番はなし、けが防止に球数制限も設けているという。

「ブエナビスタ少年野球クラブ」の代表は、高校野球での理不尽な指導や、長時間練習に疑問を持っていたという。

2019年3月に創設されたチームだが、それから8カ月で、小学1~5年生の40人が集まったという。

また、横浜市西区にある「ブルーウインズ」という軟式少年野球チームも人気だ。

こちらも、活動は原則月3~4回、日曜の午前中のみだという。保護者のお茶当番もない。

「マルチスポーツ」をキーワードに3カ月を1単位とした「シーズン制」を取り入れ、野球は4月から12月までとし、1月~3月のオフ期間は、サッカー、バスケットボール、バレーボールなどの他競技に取り組める。

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