深部対応を効果的に下げる「アイススラリー」
身体冷却には外部冷却と内部冷却の2種類があります。冷水に浸けたり、アイスパックを当てる冷却は、身体の外から冷却しますので、外部冷却に分類されます。一方、内部冷却は、身体の内部からの冷却、つまり冷たい水を飲んだり(冷水摂取)、クラッシュアイス(細かい氷)入りの飲料を飲んだりすることで身体の中から冷却することを指します。
近年、「アイススラリー」という細かい氷の粒子と液体が混ざった飲料を摂取することが、深部体温の低下に効果的であるというデータが出ています。このアイススラリーが深部体温の低下に有効である理由として、モノが解けるときに生じる融解熱が関係しています。
アイススラリーは細かい氷の粒子を含んでいますので、飲んだ氷が体内で解け、その融解熱が深部体温の低下につながるという論理です。
研究では体重1kg当たり7.5gのアイススラリーを6回に分けて摂取すると、10分程度経過してから深部体温が低下し始めます(※2)。その後、30分で0.5~0.7℃程度深部体温が低下します(個人差があります)。
一気には飲めないので腕の冷却と「二刀流」で
ただ、実際に飲んでみるとわかるのですが、これだけの量のアイススラリーを飲むことは結構苦痛です。そのため、さきほど紹介した腕の冷却と少量のアイススラリー摂取を組み合わせるとをお勧めします。何もしない場合やそれぞれを単独で行った場合と比較して、より早い段階で深部体温を低下させることができるのです(図表5)。
アイススラリーは、商品として販売されていたり、「グラニータマシーン」という専用の機器で作ることができます。しかし、家庭用のかき氷製造機やミキサーを用いて作ることもできます(この場合は氷の粒子が大きくなってしまうので、厳密にはクラッシュアイスと言ったほうがいいかもしれませんが、氷の粒子の大きさによる定義は実際にはありません)。
作った後は魔法瓶で保存することで、氷の粒子が飲む前に融解してしまうことを防ぐことができます。