好感度ランキング5年連続1位の「人たらし」

安住君は、僕のことを「兄さん」と呼んで慕ってくれます。

僕に憧れてアナウンサーになったと言うんだけど、本当かな。安住君が明治大学に在籍していた頃に、僕が政経学部の大学祭だったかに呼ばれて、大教室で講演会をやったことがあるんですが、その時も来ていて、その時のパンフレットをまだ持っているそうです。

僕がはじめてフリーになってやったラジオのパンフレットとか、TBSラジオで撮った何かとか全部取ってあって、時折、「大掃除していたら、出てきました」とLINEでコレクション画像を送ってくれます。人の心を掴むのが上手いけど、ちょっと変だよ。

安住君と言えば、『ぴったんこカン・カン』や『輝く!日本レコード大賞』とか各番組のMCを思い浮かべる人もいると思いますが、それだけじゃない。

アナウンサーの好感度ランキングで5年連続1位になって2009年には殿堂入り。「現役なのに殿堂入り」っておかしな話だけど、でも、あれだけ売れちゃうと、組織内で妬みもあるでしょう。だから、社外に相談する人間はいてほしい。その1人が僕なのか。

僕は、安住君を「オジキ」と呼んでいます。精神年齢も、自己プロデュース力も彼の方が上だから。

「オジキ筋から言われたら断れないよ」

という言い方をしています。「兄さん」と呼ばれて「オジキ」と返す、時空のゆがんだ付き合いです。

LINEを既読スルーにして翌日に返信する理由

以前、12月30日に、『輝く!日本レコード大賞』のMCを終えた安住君に、

「オジキ、今宵、大変なお仕事をこなされて、お疲れさまでした。どうかご自愛いただいて、よいお年をお迎えください」

というLINEを送ったんです。そうしたら、既読スルーしやがるんですよ。

写真=iStock.com/Pichsakul Promrungsee
※写真はイメージです

既読スルーって無礼じゃないですか。だけど、そうじゃないんです。既読スルーを相手に見せつけて、わざと1日置くんです。

「私、熟考して、推敲して、長文を入れるから、急にありがとうございますは、失礼だからやらない」とばかりに間をおくんです。やはり次の日、返事がきました。

「伊知郎兄さん、LINE本当にありがとうございます。

テレビを観てくださり感謝致します。司会者としてはもう一皮むけないといけないと反省しているところです。兄貴と仕事の話を、おいしいウイスキーの水割りを飲みながら話したくてしょうがありません。

兄貴は体を大事にしてもらわないと困ります。今年もたくさんごちそうになり、ご指導いただきありがとうございました。来年はぜひ……」

僕ならこんなこっぱずかしいLINEは出せないけど、安住君はできるんです。

それでも、僕だってオジキから教わったことを実行してみようとしたことはありました。

年末年始に親しい人、35人ぐらいから新年の挨拶メールをいただきました。尊敬してやまない吉田拓郎さん、くりぃむしちゅーの上田晋也君や南海キャンディーズの山ちゃんとか。

大晦日、元日、2日。普通はすぐに返信しようと思うじゃないですか。でもここは安住スタイルで短くても心を込めた賀状を送ろうと思って熟考するうちに、松の内が明けていました。完全に無礼な人間になってしまいました、僕は。

人間関係が台無しです。これだけはハッキリわかりました。中途半端に安住スタイルなんてやっちゃダメです。このざまですから。危険すぎる。

これからは彼の実力を持ってして、TBSの朝帯をガンガン盛り上げてくれると信じています。

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