CO2を出す製品と脱CO2の相関関係

2年前、『安住紳一郎の日曜天国』に、安住君が遅れた夏休みを取るためピンチヒッターとして出たことがあります。

「誰かにやってもらうんだったら、古舘伊知郎を引っ張ってきたって言いたい」

なんて嬉しいことを言ってくれて、僕も見栄っ張りだから「あ、いいよいいよ」って引き受けました。

すると前日、TBSラジオに呼ばれて、

「最大40分間、最低でも30分間は自由にしゃべる時間があるので、どんなお話をするか骨子だけでいいので教えていただけますか」

と言われたんです。

僕は地球温暖化の問題が前から気になっていたので、日曜のラジオにふさわしいかどうかはわからないけど……と前置きした上で話をしました。

地球温暖化防止は、カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現にかじを切ると言われ、うたい文句はSDGs構想だったりします。日本は、温室効果ガスの排出を2030年ないしは2050年までにゼロにするって言うけど、現実は火力発電所の新増設計画が後を絶ちません。

CO2は、電気自動車や再生可能エネルギーに欠かせないリチウムイオンをつくる時に出るから、儲かっている脱酸素企業が、脱炭素に向けてつくる時に煙を出してしまう製品の方、重厚長大産業の方にCO2埋設技術の投資をする方が本当のカーボンニュートラルが成立するんですよね。

それを僕が思いついたのは、夜中に台所に立った時。睡眠導入剤を半錠追加しないと寝られないと思った時、すぐそばにある平屋タイプのゴキブリ誘引剤の中にちょろちょろってゴキブリが入ったのが見えたんです。

「あ、入りやがった」と思った時に、「あっ」と思った。あらゆる流行、モードも栄枯盛衰、諸行無常で廃れていく。ゴキブリ誘引剤だって必ず上昇トレンド下降トレンドがあるはずなのに、ずーっと流行っている。

ここでパッとひらめいたのは、

「あ、ゴキブリ誘引剤をつくっている会社が、ゴキブリを養殖してるのかも」ということ。そうか、Win‒Winだったんだ。だから永遠のループなんだ。

ずーっと儲かるんだと思った。CO2もこれと同じ原理だなと。同じホールディングスにいれば、脱CO2に向けて、CO2を出す製品を大手を振ってつくれる。こんな感じでキッチンから温暖化を考えた話を1時間ぐらいしゃべったんです。

ジジイを泳がせるだけ泳がして「これでお願いします」

打ち合わせをしたプロデューサーたちは黙って全部聞いてくれて、「ありがとうございます。大変興味深いお話ですが、古舘さんが冒頭で懸念されたように、ちょっと日曜日のリスナーには重いのかなと思ってですね」

そしてプロデューサーが内ポケットからちっちゃいメモ用紙を「ご参考までになんですけど」って出してきたんです。それは安住君が置いていったメモで、

オープニングの35分から40分、

・長州力耳元ささやき事件
・Love is Over事件
・越乃寒梅買い占め事件

この3つでお願いします。

って、書いてあったんですよ。

だったらはじめから言ってくれ! ジジイを泳がせるだけ泳がして。1時間も温暖化について熱弁して、バカ丸出しじゃないですか。

挙句に、「これでお願いできますか」って。さすがに大笑いしましたよ。