能力のあるまっさらな人物だけがトップになるようにできている

特徴3 情報力のある人事マン
野地秩嘉『警察庁長官 知られざる警察トップの仕事と素顔』(朝日新書)

妻が妊娠しているかいないかまでの個人情報を把握することができる組織は警察と防衛省くらいのものだ。また、縁故地には幹部として赴任させないのも汚職に通じるような行動を抑制させるための決まりだろう。警察官僚になるということは個人生活がすべて公になることでもある。そして、異分野の人たちとは考えて交際するようになる。

結果として、警察組織は他省庁よりも内向きになり、一方で団結する。

トップになるには本人だけでなく、家族、縁戚もまた調べられると思って間違いない。組織にそぐわない人物はトップにならないようにできているし、かつ、能力のあるまっさらな人物だけがトップになるようにできている。

それだけ厳しい考査をくぐり抜けても、それでも「あの人はちょっと」と言われた長官もいた。それは長官になってから安心して、仾変し、自らの権力に酔ったのだろう。警察組織が必要とするべき次の仕組みは、組織から見たとき、「こいつは変わった」というトップをどう短期間で排除するかだと思われる。

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