尖閣諸島周辺では毎日のように中国海警船が確認されている。元海保長官の奥島高弘さんは「彼らは領海内で操業している日本漁船を排除しようと侵入してくるが、海保の巡視船がしっかりとガードしているため、接近もできないけれど出ていくわけにもいかない状態になっている」という――。
※本稿は、奥島高弘『知られざる海上保安庁 安全保障最前線』(ワニブックス)の一部を再編集したものです。
ほぼ毎日、接続水域内にいる海警船
近年、中国の海警局(沿岸警備隊)の活動はますます活発化してきています。その大きなきっかけとなったのが、2012年9月11日の尖閣3島(魚釣島、南小島、北小島)の国有化です。
図表1のグラフで確認すると、2012年9月以降、海警船が尖閣領海周辺の接続水域に入ってきた日数が一気に増えているのがわかります。その後、2019年以降はこれまでにないほど活発化し、ほぼ毎日、接続水域で海警船が確認されるという状況が続いています。
図表2のグラフでもう少し詳しく見ていくと、2018年の年間の接続水域内確認日数が159日で1年の約4割強だったのに対し、翌2019年には282日、すなわち1年の約8割にまで跳ね上がりました。
さらに2020年以降は330日以上で、実に1年の9割を超える日数で海警船が接続水域内を徘徊している状況です。
連続確認日数(海警船が連続して接続水域内に留まり続ける日数)も近年増加傾向にあります。
2021年には過去最長の157日、つまり5カ月以上も海警船が連続して接続水域内に留まっていました。翌2022年は、過去2番目に長い138日連続です。