「対等な共闘態勢」はもう古い

「自民党全敗」となった4月28日の衆院3補選は、「全勝」した立憲民主党にとっても今後の課題を考える機会にもなった。立憲は今後、野党としてだけでなく「政権の選択肢」としての評価を厳しく問われることになるが、現状は「戦う構え」すら満足にできていない。

自由民主党本社
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「戦う構え」を作るには、野党が「まとまる」ことが必要だ、と言われてきた。「全ての野党をまとめて『大きな塊』を作れ」「対等で平等な『共闘』態勢を組め」。方向性に差はあるが、野党は常に外野から、こうした圧力を受けてきた。これらは確かに、ある時代までは野党の強化に一定程度機能したが、その戦い方はもう古い。

立憲は「まとまれ」の呪縛から離れ「自力で政権奪取を目指す」姿勢を明確にすべきだ。「孤高で戦え」と言うのではない。下手な候補者調整をするより、立憲が前面に出た方が、むしろ野党陣営は大きくまとまれる、とみるからだ。

「共産を切れ」「連合を切れ」と言っている暇はない

立憲は今回の3補選で、すべての選挙区に公認候補を擁立した。これに対し、国民民主党は島根と長崎で候補擁立を見送り、立憲候補を県連レベルで支援した。共産党は島根と東京で候補を取り下げ、長崎を含むすべての選挙区で立憲候補への「自主的支援」を行った。

島根と長崎では、立憲と国民民主、共産、社民という、現状考えうる最も大きな「野党の構え」が出来上がった。連合の芳野会長は島根について「共産党と一緒に戦うことはありえない」と不満を述べたが、それによって現場の態勢が崩れたわけではない。

厚い地盤を誇る自民党との一騎打ちに野党側が勝つには、好むと好まざるとにかかわらず、この枠組みを可能な限り模索せざるを得ない。味方を増やし、敵を減らさねばならない時に「○○を切れ」などと悠長なことを言う暇はないのだ。