会社が採用すべき人材はどんな人か。経営コンサルティング・VC事業を手掛けるエッグフォワードの代表の徳谷智史さんは「前職での実績やスキルがどんなに優秀でも、会社の価値基準が合っていない人を採用すると組織が壊れてしまう。採用面接で役職について過剰に交渉してくる人は要注意だ」という――。
面接する管理職の男性
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期待を裏切る「優秀そうな人材」

会社の成長フェーズにおいて最重要とも言える要素は「組織」です。

組織を作るのは、言うまでもなく人。人を集める活動が採用です。採用は、会社の成長に大きな影響を及ぼします。

一方で、採用に失敗し深刻な事態に陥っている会社は数えきれません。読者の皆さんの会社でも、鳴り物入りで入社した幹部候補が早期に去って行った事例を見たことはないでしょうか。

私が代表を務めるエッグフォワードは、経営・組織コンサルティングで10年以上、1000社以上を支援してきました。キーパーソンの採用に失敗し、組織が崩壊しかけたり、事業の成長が止まりかけた会社から、深刻な相談を受けてきました。

職務経歴書に前職での立派な実績が列挙されており、幹部候補として求めている複数のスキルをすべて兼ね備えている――。こんな候補者がいれば、ぜひ採用したいと思うかもしれません。

しかし経営者のこうした直感が裏切られ、期待はずれの結果になることは、残念ながら非常に多くあります。

実績やスキルだけで判断してはいけない

なぜ本気で採用活動をしているのに、採用に失敗する、中には組織が立ち行かなくなるレベルの失敗すらもしてしまうのでしょうか。

それは採用の重要なポイントが、実績や表面上のスキル以外にもあるからです。重要なのは「価値基準」です。

価値基準とは、会社が大事にしたいカルチャーであり、価値観やマインドです。会社のミッション・ビジョン・バリューなどがそれに当たります。顧客や自社組織への向き合い方、たとえば、「常に未知なる分野に挑戦する」「お客様の役に立つかどうかを一番に考える」「徹底してコミットしてやりきる」といったことです。

会社や事業を新しく立ち上げるタイミングでは、この価値基準が違う幹部が一人でも入ってくるだけで、組織の根幹が驚くほど簡単に揺らいでしまいます。意外にも、それくらい大切なものなのです。