件の役員を経営体制から外し、V字回復
このプロセスを経たことで、どのような人が幹部であるべきかを、創業者自身もはっきりと認識することができました。目先の成果も大事ですが、それ以上に大切なのが顧客や組織への向き合い方です。件の役員は経営体制から外れることになり、中長期の成長に向けたチームを再構築し、事業は再び成長軌道にのりはじめました。
短期の数字に依存していた分、体制変更時は苦しかったものの、自律した組織体制に転換したことで、それまでの停滞基調から、2年目以降前年比で2倍近くへの成長を実現したのです。こういったことは、個別の特殊な事例ではなく、非常に多く見られます。
このように価値基準が明確でない場合は、適切な基準を言語化し、社内で共有することをおすすめします。採用はもちろん、日々の事業上の判断にも大きな影響を及ぼすからです。
採用においては、過去の表面上の実績のみならず、これまでの人生や職業経験を通じて語られる言葉の背景から、会社が大事にしていることや仕事のスタンス、マインドが本当にマッチしているかどうかを見ることが不可欠になります。
仕事に対するスタンスやマインドの部分を見るのは、新卒社員を採用するときも同じです。特に新卒採用では、採用時点でのスキルの差は、将来の伸びしろを考えれば誤差にすぎません。ほんの少しのスキルの差に左右されて採用に失敗するのはもったいないことです。
「とにかく肩書きにこだわる人」は要注意
価値基準にあっているかどうか確認するにはどのような点を見ればいいのでしょうか。
例えば、採用面接で「役員にしてほしい、部長にしてほしい」などと過剰に交渉してくる人は要注意です。名の知れた大企業や、急成長したスタートアップなど、いわゆるキラキラした会社に勤めていた人に多い傾向があります。
もちろん、ポジションは大切なのですが、本来肩書きはそれに見合う価値を出す役割を担えるからこそ与えられるものです。まだ新しい会社では何も実績を出していないのに、「とにかく肩書きがほしい」とだけコミュニケーションをとる人には、違和感を覚えないでしょうか。