子どもが小学5年生になるまで毎年引っ越し…
要するに警察は単身赴任はあんまり好きじゃない。家族と一緒に任地に行ってもらうのが基本。ただ、毎年のように転勤があるから、場合によっては、子どもは学校を毎年変わらなきゃならない。
「うちの子は小学校1年から5年まで毎年、変わっている。せめて5年から6年になる時だけは同じ小学校に通学させてやりたい。ついては、今回だけは単身で行きたい」と名乗り出てきた人もいました。さすがに、そりゃ可哀そうだとなって、単身で赴任させました。
ただ、今はもう単身赴任も仕方ないという風に変わってきているようです。警察官僚の生活で、これはよくないなというところは家族が犠牲になっていることでしょうか。
野田元総監が言うように、警察と警察官を理解しようと思ったら、警察の人事を離れるわけにはいかない。個人情報を大切にする現在であっても、警察だけはまだ縁故地、誰と交友しているかを調べている。臆病と呼ばれるほど、身辺に気を付けているのが彼らだ。
人事のプロはキャリアではなく一般職員にいる
【野田】警察幹部って、長官でも総監でも、ほとんどの職員のことが頭に入っているんですよ。幹部になるまでに人事で働いた人間も少なくないわけですから。
ただ、本当のプロはキャリアでなく、一般職員にいます。昔は人事考査官と言いました。その方たちは極めて長い間、人事に携わっていて、彼は何年採用のキャリアがどういった道筋で、どこで何をやって、今はどこにいると、すべて頭のなかに入っていた。
警察キャリアは自分の同期生なら、誰がどこにいるかはわかっていますけれど、他の学年のことになると必ずしも知っているわけではない。そして、だんだん、どこの大学を出たかは忘れてしまうんですね。それよりも、現場の仕事でどんな働きをしたかが昇任にかかわってくる。
経験的に言うと公務員試験に合格するという意味では能力は一緒です。ただ、試験ですから、楽に通った人と一生懸命やって通った人がいる。試験に通ったとはいえ、能力に差はあるんです。
また、新しい仕事を言いつけていくと、どんどんこなしていく人もいれば、どこかの分野は得意だけど、どこかの分野はあまり得意じゃないという人が出てくる。これは、不思議なものです。まあ、警察だけではなくどこの世界でも同じでしょうけれど。