「報告・連絡・相談」を抜かりなくやっている人もアブナイ

次に明確な年収差が表れたのが「自己学習」のあり方だ。あなたは以下の4つのどれに当てはまるだろうか。

1.明確な将来像を持ち、毎日継続的に「業務内・外にかかわらず」独自に学び知見を広めている
2.明確な将来像を持ち、「自身の業務」についての知見を増やすために継続的な学習をしている
3.明確な将来像は持っていないが、自身の能力を伸ばすため学習し他者へのアドバイスを求めている
4.該当するものはない

顕著な年収差を確認できたのは1と3の回答者だ。

年収850万円以上の人が最も多く選択したのは1。逆に年収450万円未満の人が最も多く選択したのは3と4だった。西尾社長は高年収者と低年収者の決定的な違いは「明確な将来像を持っていないこと」にあると言う。

「将来像とはキャリアプランを立てたり、課長や部長になりたいという意欲を持ったりしている人。将来像を持っていない、今日と同じ明日、明日と同じ明後日ぐらいに思っている人は、年収は上がらないということです。逆に明確な将来像を持っている人であれば、それに向けて自ずと勉強や情報収集をするでしょう」

世の中ではキャリアアップのためのリカレント教育やリスキリングが流行しているが、キャリアアップ志向の人は当然、将来像を描いているだろう。

ところが日本生産性本部の「第7回働く人の意識調査」(2021年10月21日)によると、自分自身のキャリアプランを持っているかについて、68.2%の人が「特に考えていない」と答えている。ということは約7割の人たちは年収450万円に甘んじざるを得ないということになる。

そのほかの質問では「情報発信・プレゼンテーションの影響範囲」について「所属部署や重要顧客に影響を与える情報発信・プレゼンテーションをしている」と回答した人が年収850万円以上の人に多く、「上長への報告・連絡・相談をしている」と回答した人は年収450万円未満の人に多いという傾向が出ている。

写真=iStock.com/Yagi-Studio
※写真はイメージです

西尾社長は「会社によっては企画・提案やプレゼンテーションの機会を与えていないところもありますが、30歳前後になったらどんなに小さな改善提案でもいいので企画・提案やプレゼンを自分で率先してやるようにしないと成長しないでしょう。報・連・相を適切にやっているぐらいではダメだということです」と語る。