年収が100万~300万円も高い…もらいすぎの“過払い社員”が54%

では、年収をもらいすぎている過払い社員はどれぐらいいるのか。フォー・ノーツが独自に開発した「年収評価アプリ」を使って調査した約2000人のビジネスパーソンの回答データを分析している(2021年9月16日)。

年収評価アプリとは、同社の過去400社超の人事コンサルティングと1万人超の採用・昇格面接・研修実績から導き出した「ジョブサイズ理論」(影響力の大きさや責任範囲、専門性の高さなど「総合的な仕事の大きさ」を表す指標)に基づいて質問し、回答者の年収を予測したものだ(ジョブサイズ理論については西尾社長の著書『人事の超プロが本音で明かすアフターコロナの年収基準』=星雲社に詳しい)。

つまり、市場価値(ジョブサイズ年収)と回答者の現在の年収(申告年収)との差額がわかる。

それによると現在年収が市場価値を上回る、もらいすぎの人が54%もいた。一方、現在年収が市場価値を下回る人が40%、現在年収と市場価値が一致する人が6%だった。

ではどのくらいもらいすぎているのか。100万円以下が最も多く300人(調査数約2000人)、100万円以上200万円以下が200人超、200万円以上300万円以下が150人もいる。

過払い社員とはどんな人物像なのかも気になるところだ。

一万円札
※写真はイメージです(写真=iStock.com/ma-no)

人事部社員がしばしば指摘するのは、年功序列賃金の恩恵を受けている、特に50代以上の働かないバブル世代に多いということだ。また、それより若い世代でも働き方がルーズな社員に目立つ。物流会社の若手社員はこう語る。

「倉庫に荷物が届くと、配送の仕分けを全員でやらなければいせませんが、40代の主任は、いつも何もしないで『お前たちでやってね』と言って、作業が終わるまで事務所で座って待っているだけです。自分がやるべき仕事をしないでサボって、若手に負担を背負わせて自分は楽をしている。ウチは年齢給なので給与が高い上に主任手当もある。はっきり言ってもらいすぎだと思います」

自分の仕事を極力減らし、部下に丸投げし、やるべき仕事をしないで結果的に部下に疎まれる。上に知られるのは時間の問題だろう。

こうした根腐れしたような人たちは西尾社長が指摘するようにリストラの危険度が高い人だと言える。200万円以上ももらいすぎている人は、おそらくそれに見合う成果を出していないことを薄々気づいているかもしれない。決して安閑としていられないだろう。