「部下は自宅でちゃんと働いているのか」。コロナ禍のテレワークで疑心暗鬼になっている上司が増えている。人事ジャーナリストの溝上憲文氏は「ある調査では報酬に見合う仕事をしていない、給料もらいすぎの“過払い”社員がいる、と答えた管理職が約7割いた。そういう社員は今後、リストラのターゲットになるおそれがある」と警鐘を鳴らす――。
封筒に入れられたたくさんの一万円札
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約7割「直近1年で報酬に見合う成果を出していない社員がいる」

コロナ禍で人々のコミュニケーションの総量が減少している。

特に企業活動においてリモートワークが主流になったことに伴い、対面での会話が激減しているからだ。上司や経営者の中には、部下が本当に仕事をしているかわからないため、目に見える成果をより厳しく問いたくなる人も多い。

実際、コロナ禍で社員が報酬(給料)に見合う仕事をしているかどうかを点検しようという動きも活発化している。

「あしたのチーム」が従業員300人未満の企業の経営者・管理職を対象に実施した調査で「直近1年で報酬に見合う成果を出していないと思う社員がいるか」を聞いている(2021年2月17日)。

それによると「いる」と回答した経営者が62.7%もいた。管理職に対する同じ質問では「いる」が68.0%と高い。日頃から部下と接している管理職はより厳しい目で見ていることがわかる。

また、「報酬(給与)以上の成果を出していると思う社員はいるか」という質問では経営者の76.7%が「いる」と回答。管理職も71.3%が「いる」と答えている。

コロナ禍で期待以上の成果を出している社員もいる一方で、成果を出せないで給料をもらいすぎている“過払い社員”も一定数存在する。会社が大変なときに給料に見合う成果を出さない社員に対し「こいつを辞めさせたい」という思いが頭をよぎっても不思議ではない。

経営者に「コロナ禍で成果を出さない社員を解雇したいと思ったか」も聞いている。それによると「とても思う(思った)」と回答した経営者は9.3%、「まあ思う(思った)」が33.3%。あわせて42.6%と半数近い経営者が給料の過払い社員に辞めてもらいたいと感じている。

実際に辞めさせるかどうかは別にしても希望退職者募集などのリストラの現場では、一般的に仕事の成果以上に給与が高い社員がターゲットにされている。

人事コンサルティング会社フォー・ノーツの西尾太社長もこう指摘する。

「本人は得をしていると思っているかもしれませんが、経営者や人事から見て年収が高いなと思われる人は危険です。市場価値に比べてもらいすぎている人ほどリストラの候補になりやすいからです。もらいすぎている年収額が100万円の人より200万円、300万円と多くもらっているほどリストラの危険度が高まります」