「責任は私が取るから、思い切ってやって」と言おう
失敗することを恐れて一歩を踏み出せずにいる人が、それでも勇気を振り絞って前に進もうとしている時に、「○○さん、責任とれるの?」では完全に心を折ってしまいます。
ここはやはり、誇張でかまわないので、
「○○さんが失敗したくらいじゃ、会社は潰れないから思い切りやってみよう」
「責任は私が取るから、思い切ってやって」
と励まして、背中を押してあげましょう。
失敗を恐れている部下に対しては、この上司がいれば大丈夫だと思わせることが重要なポイントになります。
小学校時代の運動会のリレーのチームに速い子が何人かいると、一等になれそうな気がしたり、体育のサッカーの時間、サッカー部員がチームに入っていると勝てそうな気持ちになったことはないでしょうか。
私たちは「より強いもの」や「より良いもの」の一部になったと感じた時、いつもの自分より積極的になったり、粘り強くなったりできるようになるものです。
この特性をマネジメントに生かさない手はありません。
後輩のことを褒めるのも大事ですが、負けることを気にしすぎる部下に対しては、むしろ「この上司がいれば大丈夫」と思わせる言動の方がより重要になるので、あなた自身が部下からそう思われるように、日ごろから心がけておきましょう。
集団心理を使ってチャレンジ精神を引き出す
現在、ビジネス現場においてフロイト以上に使える心理学として人気のあるコフートは、「人間はいつも褒めてもらうために頑張れるのではなく、自分よりはるかに強い人間を求めることで、自己愛を満たそうとする」と述べています。
正直、誰でも多かれ少なかれ失敗することを恐れているでしょうし、できれば負けたくないと思っているはずです。
それでもなおチャレンジしようとするのは、個人的な性格以上に、上司をはじめとする職場の集団心理の影響も大きいのではないでしょうか。
うまくいくかどうかが心配だったり、失敗することを恐れて決断できずにグルグルしているときに、「大丈夫だ、○○さんならできる」と背中を押してくれる人がいたら事態は変わるはずです。
あるいは、そんな時にリスペクトしている人から「こういうふうにやってみたら」とか「こう考えてみたら」とアドバイスしてもらえただけで、ものすごく安心できるものだったりするのです。
「よく、成功体験が大事っていうけど、結局、失敗体験のほうが次に同じ失敗をしないようになるので、若いうちは失敗体験のほうが大事なんだよね」
「失敗の痛みを経験すると、早く一人前になれるよ」
「『失敗と書いて、成長と読む』って野村監督の名言だけど、今のうちにできる失敗は全部、経験しておいた方がいいよ」
⇒ここは「共感」「激励」というコミュニケーションの様式を使う
「○○さんが失敗したくらいじゃ、会社は潰れないから思い切りやってみよう」
「責任は私が取るから、思い切ってやって」
⇒不安を取り除くひと言