セキュリティでは手荷物検査トレーの消毒を行い、消毒液を設置している。搭乗時には、ゲートやボーディングブリッジに静電スプレーによる消毒を行う。搭乗は最大10人が機内最後部の搭乗者より案内される。ボーディングブリッジ内に誘導シールが貼付される。機内では、前述の静電スプレーが使われ、広範囲に消毒がされる。
長距離国際線のアメニティにもハンドウォッシュかウェットティッシュが入っている。サービスでは緊急性の低い備品として機内誌と飲料グラスの提供を中止。全ての段階で世界保健機関(WHO)と米国疾病対策センター(CDC)と連携を取りながら情報は逐次アップデートされるというものだ。
この他、ユナイテッド航空はクリーブランドクリニックという学術医療専門の病院と提携し、アドバイスを受けていると説明する。アメリカン航空では使用する静電スプレーに米国環境保護庁(EPA)登録の医療用レベルの消毒液を使うと明示した。アメリカは総じて対策のレベルが高い印象を受ける。
ガイダンスに書かれた“搭乗者の自衛手段”
CDCは3月4日、航空会社および乗務員向けのガイダンスを更新した(※資料6)。さらにCDCは5月10日にアメリカ連邦航空局(FAA)のガイダンスも紹介している(※資料7)。これらは航空会社側の指針であるが、搭乗者の理解向上につながる。
感染の疑いのある搭乗者の降機後、注意深く清掃する部分が書かれている。われわれにも参考になるので紹介する。その部分とは、シートとシートベルトバックルの金属部分、トレーテーブル、ライトとエアコントロール、客室乗務員の呼び出しボタン、オーバーヘッドビンハンドル、隣接する壁、隔壁、窓と窓のシェード、および個々のビデオモニターだ。これを頭に入れておけば、搭乗者自身は除菌シートを使って防衛することもできるだろう。
また、機内のソーシャルディスタンスについても紹介したい。IATAは先述のリポートで3列シートの中間席を空ける措置は必要ないと断じた。だが、中間席を予約させずにソーシャルディスタンスを取るエアラインがある。日本ではJAL、フジドリームエアラインズの例がある。航空会社も利用者の不安心理に配慮しなければならず、収益面から考えれば苦肉の策であろう。
搭乗旅客数を制限するということは、現在よりも高い運賃(IATA試算で地域により43%から54%増)を収受しないと採算が合わない計算となる。この対応は、