コロナの教訓で機内殺菌システム完備が進む可能性

この高性能換気システムは年々進化を続けている。例えば、英国の航空宇宙メディアの「フライトグローバル」が報じた、航空機内で殺菌ができる装置を開発しているメーカーがある(※資料4)。米ジョージア州にあるAviation Clean Air社は機内殺菌システムを開発し、2014年から販売している。

同社のイオン発生機は、通常の機内空気循環システムに追加で設置するもので、機内に200万もの正負イオンを分配することで、細菌を消滅させる力を持っているという。今回の新型コロナウイルスの細菌を死滅させる検証はされていないが、SARSを含む過去の感染症では効果を発揮した。

同社の経営メンバーであるTom Davis氏へメール取材ができた。この装置は現在アメリカの6つのメジャーエアラインや他国の数社から引き合いが来ているという。

1台での有効空間面積は限りがあるので、ボーイング737などのナローボディ機では4台、ボーイング787などのワイドボディ機へ7~8台の設置が必要になる。月間製造可能台数1000台以上とのことで、ナローボディ機250機分となる。米国FAAや欧州EASAなど航空当局の認証もあるとのことだ。

エアバスは、5月4日のリリースでアメリカの「コニク」社とともに、バイオテクノロジーを利用した臭気による細菌感知システムの構築に乗り出すことを発表した(※資料5)

エアバスは2017年より防衛の分野で提携した経緯もあり、今回生物バイオテロに立ち向かう新たなプロジェクトを立ち上げると表明したもの。航空機メーカー主導の対策が実現すれば安心な航空旅行が実現するが、現段階では細菌を検出するのみということで、行く末を見守りたい。

飛行機のシートを消毒している
写真=iStock.com/Joel Carillet
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コロナで激変する旅行者への安全対策

先述のIATAのリポートでは、感染症対策として明示しているのは機内での乗務員・乗客のマスク着用の推奨だけだ。しかし各国の航空会社は独自に、「搭乗準備」「搭乗前」「搭乗中」「降機時」の各段階で感染防止対策をすでに導入している。

例えばデルタ航空では、チェックイン、セキュリティ、搭乗、機内、座席の5つのシーン別の対策を明らかにしている。他社との差別化でみるとチェックインでは、アプリ使用のモバイルチェックインを推奨。マスク未使用者にはウェルネスキットを渡している。消毒液の用意や有人カウンターでアクリル製の仕切りを設置している。