日本政府は東京都を含む全国の緊急事態宣言を解除した。これから何が起きるのか。日本より早く5月4日から都市封鎖の段階的解除に踏み切ったイタリアでは、若者たちは「お祭りムード」を謳歌しているという。ミラノ在住のジャーナリスト、新津隆夫氏が現地より報告する——。
公園への立ち入り許可、美術館も再開
現地5月4日、イタリア政府は3月9日以来同国全土に発令していた、ロックダウン(都市封鎖)規制の段階的解除に踏み切った。都市封鎖という第1段階(フェーズ1)に続く、出口戦略の始まり(フェーズ2)である。
まず、製造業と建設業、卸売業の操業再開が許可され、公園への立ち入りや屋外での運動も認められることになった。さらに5月18日からは州内の移動が自由になり、これまで開店が認められていた食料品店や薬局以外の一般の小売店、博物館や美術館も再開が認められた。6月3日には州をまたがる国内の移動が自由になるとともに、欧州連合(EU)加盟国からの観光目的の入国も許可される予定だ(2週間の自己隔離措置も撤廃)。
再開を後回しにされた業界から大ブーイング
死者3万2616人、感染者22万8658人(5月23日時点)という甚大な被害を出した末に始まった「フェーズ2」は、しかし施行される前から混乱続きだった。都市封鎖を始める際に「明日、愛する人を抱きしめるために、今日は我慢しよう」と国民に呼びかけ、「経済を捨て命を優先させた」と評価されたジュゼッペ・コンテ首相だが、「フェーズ2」では経済再生を望む声に押され、段階的に進める予定だった各産業の休業解除を、ほとんどの業界・業態で前倒しにせざるをえなかった。
要するに、再開を後回しにされた業界を説得する材料が見つからなかったのだ。他のEU諸国同様、感染の拡大傾向を示す「実効再生産数」が1未満であることを休業解除の条件(つまり1を超えれば再度の休業要請もありうる)とするのがやっとだった。