力ずくではなく影響力を拡大していく
その音楽は従来のコンセプトやジャンルの壁を破壊することから、とりわけ欧米の「伝統的」なヘヴィメタル愛好家からは強い反感を買い、拒絶され、攻撃される始末でした。しかし、BABYMETALのプロデューサーやグループメンバーおよび振付師や作曲者は臆することなく、オブセッションに身を任せ、欧米やアジアのさまざまな国の音楽を精力的に融合しています。そして着実に反対者を擁護者に変転しています。2019年に発表したアルバムは、その音楽性の高さでアメリカ「ビルボード」のアルバム総合チャートで13位にランクインし、1963年に坂本九が記録したランクを56年ぶりに更新し、イギリスでもトップ10にランク付けされているのです。
Think different、ドビュッシー、BABYMETALなどに見る破壊的ディスラプションには、衝撃こそ大きいものの、「破壊」からイメージする、抵抗勢力や反対者を力ずくで抑え込んだり排除したりするような脅威による支配、悲壮感や恐怖、強迫観念といったものはありません。抵抗者を和らげ、さらには反対者を擁護者に、そして提唱者へと転換して影響力を拡大します。
「この組み合わせはありえない」と拒絶するマインドを、オブセッションは「こんな素晴らしい世界が生まれるのだ」という新しいパラダイムに導き、ディスラプションをイノベーションへと昇華する原動力となります。