商品化のため広く消費者から出資を募る「クラウドファンディング」の市場が広がっている。しかしその利用には商品化が頓挫するというリスクもある。大手クラウドファンディングサービス「CAMPFIRE」顧問で、自身もオーナーとして累計3億円を集めてきたbamboo氏は「損をしたくない人は利用しないほうがいい」という――。

※本稿は、bamboo『推される技術 累計3億円集めた男のクラウドファンディング冒険記』(集英社)の一部を再編集したものです。

投資コンセプト
写真=iStock.com/anyaberkut
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バンドの「海外公演」費用を募った

自分がクラウドファンディングと出会い、初めてプロジェクトを手掛けたのは2013年のこと。美少女ゲームメーカーOVERDRIVE代表兼ロックユニットmilktubのボーカルとして、何もかも手探りのところから始めて、その後クラウドファンディングを使いに使って使い倒してきた。

われわれのバンド「milktub」が2014年、ドイツのボンで開かれるアニメコンベンションイベント「AnimagiC2014」にライブアクトとして招聘されたときのこと。「海外公演」はミュージシャンだったら一度は夢に見る体験で、われわれも全力で臨みたい。だが、先方からのオファー条件は「メンバーふたりで、演奏はカラオケで歌唱での参加」というものだった。

当時の海外のコンベンションなどのアニメ系イベントは、現地スタッフたちの熱意と手弁当で開催されており、物価の高い日本のミュージシャンをバンド&スタッフごと招聘する予算を捻出するのはかなり難しい状況だった。それでも一生に一度になるかもしれないイベント。この時点での最高の演奏、最高の布陣で挑みたかった。予算の都合上、主催者がバンドでの招聘費は出せないというのなら、自分たちで出して行っちゃるわ! と、この費用を募るプロジェクトを立ち上げたのだ。