江戸時代からの名残り「3時のおやつ」
ロンドンの病院で働いていた時のことです。
イギリスには、午後にお茶を楽しむ習慣があります。
「アフタヌーン・ティー」という言葉があるくらいで、午後3時から4時頃の間に、紅茶とお菓子をいただきます。
ちなみに日本でも「3時のおやつ」という言い方がありますが、あれは江戸時代からの名残です。
江戸時代の寛永頃までは朝夕2食が普通で、八つ時(今の午後3時頃)に間食をとっていたそうです。
江戸の後期には社会も安定し、1日3食になったのですが、八つ時の間食習慣が残りました。八つ時に食べるから「お八つ(おやつ)」というわけです。
とはいえ、ビジネスパーソンで「3時のおやつ」を実践している方は多くないでしょう。常に忙しい病院などその代表で、ゆったりとおやつを食べるなんてもってのほかだと思っていました。
ロンドンの病院は「アフタヌーン・ティー」をする
ところが、ロンドンの病院では、「アフタヌーン・ティー」が実践されていたのです! これには驚きました。
しかもさらに驚いたことに、同僚の医師からこう言われたのです。
「君は日本人だから、アフタヌーン・ティーの文化はないだろ? 無理につきあわなくていいよ」
この病院に勤めた日本人は私が初めてではありません。きっと、前任者は、アフタヌーン・ティーを断って仕事にいそしんでいたのでしょう。「日本人の勤勉さ」を象徴する行動です。
しかし、本当にこれでいいのでしょうか?
日頃、「十分な休息をとれた気がしない」と感じてしまうのも、1日中、緊張を強いられているから、と考えることもできるのです。張り詰めた精神は、疲労を蓄積させてしまいます。
たしかに、何かをやり遂げる際には、適度な緊張が必要です。緊張すると交感神経が刺激されますので、やる気がアップします。
しかし、交感神経が活発になりすぎると、自律神経のバランスが大きく崩れてしまうので、適度に休息をとり、リラックスすることで緊張を緩め、副交感神経を働かせる必要があるのです。