「自分たちには伸びしろがある」と思い込ませた

そこで、メンタルのトレーニングを通じ、世界と戦うための思考と姿勢を準備していく作業を行いました。

「僕らだって、スクラムを押せるかもしれない」
「積極的にタックルにいって、良いデイフェンスをしたい」
「苦しい状況でも、こうやって工夫をしたら切り抜けられる」

要するに、「無理」という思い込みから脱却して、「自分たちは成長する可能性がある」「変われる」「できる」と考えるようにする。こうしたマインドセットに変えていくことが成功の「土台」になります。

そして、リーダーにとっては、後輩や部下、スポーツであれば指導している選手といった「フォロワー」を、成長できるマインドセットに導くことが大きな任務の一つになります。

「どうせ自分たちにはできないだろう」
「能力には限界があるはず」

そういった、変化を信じないマインドセット(Fixed mindset/フィクスド・マインドセット)を、「自分たちには伸びしろがある」「能力には限界はない。進化させることができる」といった変化を信じるマインドセット(Growth mindset/グロース・マインドセット)へと変容するよう、導くのです。

リーダーに求められる3つのマインドセットとは

マインドセットについては、1980年代から米国の教育心理学者キャロル・ドゥエック氏が研究を積み重ねてきました。ドゥエック氏は、マインドセットを変えることによって、達成できる内容に変化をもたらすことができると指摘しています。

例えば、「僕はもともと頭が良くないから、成績は上がらないはず」と学力が生まれ持ったものだと信じている子どもに比べ、「やればできるようになる」と可能性を信じて取り組んだ子どもの方が、実際に学力が伸びることが明らかになっています。

つまり、自分たちが信じていることや考えていることは、高い確率でその行動や成果に影響を及ぼすということです。

現実に私たちの多くが、それとは反対に「自分はダメなやつだと思われているかもしれない」と周りの評価を気にしたり、「どうせ自分にはできない」と自分の能力を疑ったり、「こんなことできるわけがない」と決めつけたりしてしまう傾向にあります。

でも、これらの思考を変化させるだけで、私たちが達成したいことの質や量を向上させることができるのです。

目標達成までに、様々な障害が立ちはだかるでしょう。そんなとき、従来の常識や思考法にとらわれていれば、変化を信じないフィクスド・マインドセットに陥ってしまいます。特にリーダーには、成長の土台となる以下のマインドセットが欠かせません。

成長の土台となる三つのマインドセット
1 新しい経験を拒まない
2 習得への情熱を持つ
3 限界を決めない