「前例がない」というだけで諦めない

1 新しい経験を拒まない

一つ目に挙げるのは、新しい経験を拒まず受け入れるということ。私たち個人や組織が成長していくためには、新しい取り組みを導入し、挑戦していくことが必要です。

ところが、成長の見られない組織やチームでは、「誰もやったことがない」とか「前例がない」といった言い訳が横行し、新たな導入に際しては「誰が責任を取るのか」「もし結果が伴わなかったらどうするのか」などと、リスクだけに目を向けてしまいがちです。

次々と新しいことに取り組めばいいかと言えばそうではありません。ただし、新しい取り組みをしようと思ったときに、前例がない、というだけの理由で諦めるのは間違っています。

2 習得への情熱を持つ

「習得への情熱」を自分なりに分析してみることも、成長するために大事なことです。

自分の昇進や昇格のためだけではなく、また誰かと比較して優位に立つという目的のためでもなく、ただ「うまくやれるようになりたい」とか「もっと仕事ができるようになりたい」という純粋な気持ち。

個人が成長するためには、常にこのような気持ちを大切にしながら、自らのスキルを高めていく姿勢が欠かせません。

失敗してしまうのではないか? 成功できるだろうか?
自分は仕事ができない人間に見えていないだろうか?
同僚よりも、自分は先を行っているだろうか?

このように「結果」に関わることばかり考えたり、自分に点数をつけたりする考え方は、自分自身を疲弊させるだけです。

そうした考え方は、もう捨ててしまいましょう。できるようになりたいという情熱と、苦手なスキルにも取り組む実行力を持つことの方が重要です。

日本代表を選ぶ基準は「良い情熱」を持っているか

そういえば、エディーさんがゲームメンバーを決定するときの基準は、「ラグビーが上手くなりたいという情熱」を持っているかどうかでした。単に「試合に出たい」とか「自分をアピールしたい」と考えている選手を選ぶことはしませんでした。

情熱には、「良い情熱」と「悪い情熱」があります。

「○○しなければならない」「上司に言われたから」「絶対に成し遂げなければいけない」などと強い執着を感じるような情熱は、悪い情熱です。ネガティブな感情や感覚(だるい・辛い・疲労感)を伴ううえ、フォロワーとの関係もうまくいかなくなります。

一方、良い情熱は「調和的情熱」と呼ばれます。

ワクワクする時間が多い。フォロワーと協力しながら前向きに取り組んでいける。特にリーダーシップというスキルを習得するときは、この調和的情熱をもって進めていくことが求められます。